<社説>新型コロナ休校延長 子どものストレス軽減を


社会
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 県内41市町村のうち33市町村が15日までに小中学校の休校延長を決めた。新型コロナウイルスの感染が拡大する中、児童生徒の安全を守るためにはやむを得ない。

 だが、休校によって居場所をなくす子どもがいる。そうした児童生徒をケアする体制を強化すべきだ。
 県子ども未来政策課が県内の「子どもの居場所」の開所状況を市町村を通じて調べたところ、8日時点で197カ所のうち6割を超える129カ所が休止、または一部休止になっていた。
 給食がなくなることで、食事を取りにくくなる児童生徒もいる。行政や民間団体で構成する「沖縄子どもの未来県民会議」(会長・玉城デニー知事)は、子どもたちの弁当購入費や食材費用などに充てるため、子どもの居場所に対し、1施設当たり5万円を上限に助成している。そのような取り組みは加速させなければならない。
 休校が長期化すれば、学習が遅れるだけでなく、ストレスもたまる。生活のリズムが狂って心身の健康に悪影響を及ぼす恐れがある。休校中に、感染の危険が高い場所に出入りしたり、生活態度が乱れたりしないように注意したい。
 自宅にいても、時間割に従い、規則正しい生活をすることが理想だ。だが現実には、子どもたちの力だけでは難しいだろう。
 これまで以上に、電子メールなどのITや電話などを有効に活用して、子どもたちとのコミュニケーションを密にした方がいい。
 なぜ休校にしなければならないのか。感染したらどうなるのか。感染を防ぐにはどうすればいいのか。こうした点を児童生徒に理解させることも極めて重要だ。
 「外出は駄目」「家で勉強しなさい」と頭ごなしに言って聞かせても、子どもの心には響かない。平常時でもそうだが、人格を備えた一個の人間として子どもたちに接することが大切だ。
 未曽有の伝染病によって社会が直面している危機、それに対処するための方策など、現状を正しく認識できれば、一定程度、行動変容につながるのではないか。
 人と接触する機会をできるだけ控えることが感染防止に役立つ。密閉空間、密集場所、密接会話の「3密」を避けることの意義を、分かりやすく説明し、指導するのは大人の務めだ。
 経済的に困窮している世帯では、タブレット端末やパソコンがなく、通信できる環境も整っていない世帯が少なくない。
 ITを使って、全ての児童生徒に学びの場を提供できるようにしたい。政府は環境整備を急ぐべきだ。
 一日の大半を自宅で過ごし、友達とも会えないストレスは想像するに余りある。子どもたちの負担を少しでも軽減する方法を社会全体で考えていく必要がある。