<社説>コロナ禍の決算発表 今こそ経済展望聞きたい

 新型コロナウイルスが企業の決算発表にも影を落としている。決算業務の遅れから発表を延期したり、感染拡大を防ぐため記者会見の開催を見送ったりする事例が出ている。情報開示にも影響することはないのか、気掛かりだ。

 企業の2020年3月期決算の開示は今週がピークだ。今年は沖縄でも報道機関向けの発表が様変わりしている。
 東京証券取引所1部上場の沖縄銀行は感染拡大防止の観点から、例年頭取が出席して開いている記者会見を取りやめる方針だ。東証に決算報告書を提出する13日に報道機関向けに資料を提供し、個別の質問などに対応する。
 同じく東証1部の琉球銀行は15日に決算を発表するが、記者会見への参加は各社1人との制限を設ける予定だ。4月に記者会見を開いたサンエーは時間を短縮した。同じく沖縄電力や日本トランスオーシャン航空は出席者を各社1人に制限し、会場入り口で検温するなどの措置を取った。
 県内主要企業の多くは上場・非上場に限らず、株主や投資家、消費者らへの説明機会の確保などを目的に自主的に会見を開き決算を公表している。だが今年はリウボウグループやイオン琉球も会見を取りやめて資料提供で対応する方針だ。ほかにも会見の中止を検討する企業があるなど、各社で対応が分かれている。
 新型コロナウイルスの感染拡大防止は、極めて厳しい状況にある目下の経済を立て直していく上でも最優先の課題であることは疑う余地はない。その意味では会見の中止や規模縮小はやむを得ない部分がある。ただ深刻な危機にあるからこそ、トップが足元の業績や見通しを直接語り掛ける重要性も増している。
 決算発表の変化は沖縄に限った話ではない。東証の調べでは4月末時点で2部などを含めて392社が3月期決算発表を当初予定から延期した。在宅勤務の拡充などで会計実務が滞り、公認会計士の監査業務などにも影響が出ている。感染リスクなどを理由に会見を中止する例も相次ぐ。
 東証は2月、感染拡大を受けて決算発表延期を容認すると発表した。株主総会の開催や有価証券報告書の提出など決算関連の重要な手続きについても、政府などは4月に延期や柔軟な対応を認めた。
 ただ投資家などからはコロナ禍に便乗して損失を先送りするなどの不正を懸念する声もある。発表の延期や会見の中止で情報開示の範囲が狭まるようなことは許されない。4月に決算を発表した沖縄セルラー電話はオンラインで会見を開いた。各社は望ましい発表方法を追求してほしい。
 新型コロナの感染拡大は沖縄経済も直撃している。主力産業の観光をはじめ各業界で深刻な影響が広がり、休業や営業自粛で企業は悲鳴を上げている。経済のリーダーたちは今こそ、未曽有の危機を乗り越える方策とコロナ後の展望を発信してもらいたい。



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