<社説>県議選きょう投開票 危機脱出へ貴重な一票を


社会
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 新型コロナウイルス感染症の拡大でこれからの生活はどうなるのか。不安を募らせている人は多い。そんな状況だからこそ、生活に直結する政治判断の重みが増している。

 任期満了に伴う県議会議員選挙がきょう投開票される。今回の選挙は、世界がかつて経験したことがないコロナ禍の中で迎えた。県民は、命と健康を最優先に、外出自粛や社会的距離の確保など、自ら行動を大きく制約してきた。一方で基幹産業の観光をはじめ県経済は甚大な打撃を受けている。
 この未曽有の危機をどう乗り越えるかが県民にとって焦眉の課題だ。県政が状況を迅速かつ正確に把握し、どのような対策を打ち出すかは、県民生活を左右する重要な政治判断となる。県議は県政のかじ取りをチェックしたり、自身の考えを県の施策に反映させたりする役割を担う。
 その意味でコロナの難局を県民がいかに早く乗り越えられるかは、県議選で選ばれた議員たちの手腕にかかっていると言っても過言ではない。有権者の選択は、コロナ禍脱出の鍵を握っている。
 とはいえ、今選挙の最大の争点はやはり米軍普天間飛行場の移設に伴う辺野古新基地建設の是非だ。与野党で反対、容認両論に分かれ、対立軸は鮮明だ。
 このほか沖縄振興計画の在り方や子どもの貧困問題など山積する県政の課題を巡り政策論争が展開された。
 誕生して初の県議選となる玉城県政の評価も主要な争点だ。48の定数のうち、玉城デニー知事を支える県政与党が現在、過半数の26議席を保有している。それを維持するか、野党・中立が巻き返して逆転するか。与野党構成は大きな焦点だ。与党が過半数に達しなかった場合、玉城知事の県政運営が揺らぐことになる。
 選挙の結果は全国からも注目されている。玉城知事は、与党が多数を占める県議会に支えられ、辺野古新基地建設を進める政府に対抗してきた。その行動を力強く推進できるか、それともブレーキがかかるかは県議選の結果次第と言っていい。
 県執行部と車の両輪に例えられる県議会の議員たちは知事と並ぶ県民の代表だ。与野党構成などの議席数は民意を測る目安となる。投票率が低い場合は、民意が十分に反映されない可能性が高くなる。
 今選挙は低投票率への懸念が強い。新型コロナ感染症拡大防止のため候補者たちは活動を自粛した。有権者の関心を高める機会がそがれた面は否めない。外出自粛や「3密」回避の行動も影響してか、期日前投票数は好調だったが、低投票率に終わることは何としても避けたい。
 選挙は民主主義の根幹である。投票の大切さはいくら強調してもし過ぎることがない。県議選は沖縄の将来を決める大事な選挙だ。有権者は各候補者の政策を見極め、貴重な一票を投じてほしい。