<社説>辺野古見直し論 血税の無駄遣いをやめよ

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設に対し、政権与党の自民党から見直しを求める意見が出ている。辺野古の新基地は「不要不急」「無理・無駄」の象徴であり、指摘は至極当然だ。

 見直し論が上がるきっかけは、政府による地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の配備計画停止だ。停止の理由について河野太郎防衛相は、迎撃ミサイルの発射後に切り離す推進装置「ブースター」を自衛隊演習場内や海に確実に落とせない技術的問題のためと説明した。
 安全確保のためにはハードウエア改修が必要となるが、そのためのコストと期間を考えれば「配備は合理的ではないと判断した」という。
 地上イージスは約4500億円以上の費用がかかる半面、配備は2025年度以降の予定だった。北朝鮮や中国の最新鋭ミサイルに対応できないといわれている。計画停止は当然の帰結と言える。
 同様に辺野古新基地建設も技術的な困難から費用や期間が大きく膨らんでいる。
 自民党の中谷元・元防衛相は辺野古の新基地について「十数年、1兆円かかる。完成までに国際情勢は変わっている」と指摘し、軍民共用など計画見直しに言及した。
 旧民主党政権で防衛副大臣を務めた自民党の長島昭久衆院議員は、地上イージス停止に関し「あと15年もかかりコストは青天井の辺野古移設計画も同じ。10~15年先を見据えて真に役に立つ防衛装備に国民の税金を有効活用してほしい」と主張した。
 中谷氏は計画の中止は求めておらず、自衛隊が米軍の役割を肩代わりすることなどを訴えた。長島氏は普天間飛行場の嘉手納基地統合が望ましいとの見解を示した。
 いずれも沖縄に新たな負担を強いる案であり、到底容認できない。ただかつて辺野古移設を推進する立場にあった与党議員も公然と計画見直しを唱えていることは注目される。「官邸1強」政治からの変化の兆しもうかがえよう。
 そもそも中国のミサイル射程内にある沖縄での米海兵隊基地新設は、軍事的に疑問視されている。さらに辺野古海域には軟弱地盤が広がり、工事の実現は見通せない。
 政府は昨年末、事業完了に12年、総工費は当初の3倍近い9300億円と計画を修正したが、さらに増大する可能性が大きい。県試算では最大2兆5千億円余りに膨らむ。
 安倍晋三首相はイージスの停止と辺野古に関して「普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならない」と強調したが、論理的におかしい。日米両政府の合意から24年もたつ返還をさらに2030年代以降に先送りする計画こそ、固定化にほかならない。
 米国の要求から進めた非合理的な地上イージス計画を停止できるなら、「辺野古が唯一」との神話からも決別できるはずだ。壮大な無駄遣いをこれ以上続けてはならない。



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