<社説>河井夫妻起訴 首相こそ問われている

 前法相で衆院議員の河井克行容疑者と、妻で参院議員の河井案里容疑者が公選法違反(買収、事前運動)の罪で起訴された。法相経験者の起訴は重い。二人は速やかに議員辞職すべきだ。

 克行被告を法相に起用した安倍晋三首相の責任は重く、首相自身が問われている。自民党は、国民の税金から賄われる政党交付金などから1億5千万円を提供し、組織を挙げて河井夫妻を支援した。首相と自民党は説明責任を果たさなければならない。
 案里被告が初当選した昨年7月の参院選広島選挙区を巡り、地元議員ら100人に計2900万円余を配ったとされる。克行被告は調べに対し、現金の配布を一部認めた上で、買収目的ではなかったと容疑を否認。案里被告も「違法な行為をした覚えはない」と話しているという。公判で真相解明を求めたい。
 克行被告は首相補佐官、自民党総裁外交特別補佐として安倍首相を支えた。菅義偉官房長官を慕う議員グループの中心的存在で、政権と近い関係にある。
 自民党と政権は、地元の反対を押し切って広島県議だった案里氏を広島選挙区で公認した。事の発端はここにある。公示前から首相の秘書が広島に派遣され、首相自身や菅官房長官も応援演説に駆け付けた。案里被告は出馬会見で自民から2人擁立の理由について「総理の強いお考え」と強調していた。
 克行被告が広島県議のスタッフに現金を渡した後の昨年5月、安倍首相の秘書がこの県議を訪ね、案里被告への支援を求めていた。克行被告は、案里被告の後援会長を務めた町議に「安倍さんから」と首相の名前を出し、現金30万円が渡っている。まさに首相の肝いりの選挙である。
 首相は「かつて法相に任命した者として責任を痛感する。国民におわびしたい。党として説明責任を果たさなければならない」と述べた。党より先に説明しなければならないのは、首相自身だ。
 自民党本部が夫妻側に提供した計1億5千万円の使途について、党の説明ははっきりしない。二階俊博幹事長は「党勢拡大のための広報紙を複数回、全県に配布した費用に充てられた」と強調した。その後「党としては(使途が)どうなったかということは細かく追究しておらず、承知していない」と述べている。無責任な発言だ。夫妻に渡った資金が買収の原資と疑われている以上、自民党は国民に詳しく説明しなければならない。
 一方、特捜部と広島地検は、夫妻から現金を受け取った県議や市議、首長らの刑事処分を見送った。選挙買収では受領側も罪に問うのが一般的だろう。起訴や略式起訴にしなければ過去の事例と整合性が取れない。
 今回の大規模買収事件は、国民の政治不信を招いた。安倍首相が出席する予算委員会の集中審議が必要だ。



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