<社説>米核実験から75年 「核なき世界」の実現を

 米国がニューメキシコ州の「トリニティ・サイト」で人類史上初の核実験を実施してから75年を迎えた。トランプ米大統領が、この実験を「素晴らしい偉業」とたたえたことに抗議する。

 核兵器は人類の安全保障に何の役にも立たないどころか、人類の将来を脅かす存在でしかない。唯一の被爆国日本は、核兵器を非合法化する史上初の核兵器禁止条約に参加し、「核なき世界」を目指す取り組みを各国と共に推し進めるべきだ。
 米国は1940年代初頭から原爆開発計画を推進。ナチス・ドイツが先行する恐れを背景に、ロスアラモス研究所を中心としてウラン、プルトニウムの製造が進められた。8月6日、広島にウラン原爆を、9日に長崎にプルトニウム原爆を投下した。
 その後、冷戦下で米ロが核軍拡競争を続けた。米国統治下にあった沖縄は、米軍の核戦略の主要基地となった。59年6月、那覇飛行場に隣接する基地から核弾頭が搭載されたナイキ・ハーキュリーズミサイルが誤射され那覇沖の海中に突っ込んだ。広島に投下された原爆に匹敵する。「敵地攻撃型」の核ミサイル・メースBも配備された。62年のキューバ危機の際、沖縄のミサイル部隊に核攻撃命令が誤って出され、現場の指揮官の判断で発射が回避されるという出来事もあった。沖縄は一触即発の状況に置かれていた。
 ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の推計によると、今年1月時点の世界の核弾頭数は計1万3400発。米国とロシアの2カ国だけで1万2千発超に上り、全体の約9割を占める。
 現在、米中ロを中心とする「新冷戦」下にあり、中国が中距離核戦力を持ち、トランプ政権は小型核の開発・配備を進めている。本紙は米国が沖縄はじめ日本列島に、核弾頭を搭載可能な新型中距離弾道ミサイルを大量配備する計画があると報じた。
 地球最後の日までの残り時間を概念的に示す「終末時計」の最新時刻は、今年1月「100秒」となり1947年の創設以来、過去最短である。
 一方、2017年に国連で採択された核兵器の保有や使用を禁じる核兵器禁止条約は、発効に必要な50カ国・地域の批准に達していない。日本が核抑止力の呪縛にとらわれ署名していないのは、犠牲者と未来に対する背信行為だろう。核軍拡に向かう世界を核軍縮に転換させるため、先頭に立たなければならない。
 米軍普天間飛行場の移設を決めた時の米国防長官ウィリアム・ペリー氏は、沖縄戦直後、破壊し尽くされた那覇の光景が忘れられないと言う。
 「戦争には栄光が存在しない」ことと「将来的に核戦争が起きれば、それは死と破壊にとどまらず、文明の終焉をもたらす」(「核戦争の瀬戸際で」)と悟った。今こそ核軍縮を訴え続ける老政治家の教訓に耳を傾けるべきだ。



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