<社説>北部基幹病院の合意 必要十分な医療の構築を

 名護市の県立北部病院と北部地区医師会病院を統合する北部基幹病院の整備を進める合意書が締結された。今後は新たに公立北部医療センター整備協議会を発足させ、統合に向けた作業が始まる。

 北部市町村議会議長会が2013年、両病院の統合と基幹病院の設立を県に要請して約7年が経過した。県との基本的枠組みの合意にやっとこぎ着けたと言えよう。
 健康で豊かな生活のためには医療の充実が欠かせない。整備に向けた端緒が開かれた以上、住民への必要十分な医療の提供が、まず大前提であることを確認したい。
 北部地区で医療体制の構築が喫緊の課題となったのは、05年に北部病院の産婦人科が医師不足で休止に追い込まれたことに始まる。
 北部地域では、急性疾患、重症患者の治療を24時間体制で対応する急性期医療を同規模の両病院が担ってきた。加えて両病院とも多くの診療科が重複することで、医師が分散し、不足していた。
 中南部地域の病院と比較しても少人数の医療体制となるのは避けられない。医師1人当たりの負担も大きくなり、疲弊につながるのは必然だ。救急搬送や転院などを含め、北部地域の入院患者の20%超が中南部地域で医療を受けるという悪循環に陥っていた。
 14年には県の研究会が両病院の統合を提言していた。
 17年3月には、基幹病院の設置を求める住民総決起大会が開かれている。県は同年12月に病院設置方針を表明し、19年1月に基本合意書案を示した。県と市町村は財政負担や経営主体のあり方などの協議を続け、県案の了承までに1年以上を費やしてきた。
 基幹病院の整備に当たっての論点の一つは経営主体のあり方だった。
 合意書は、設置主体を県と北部12市町村が設立する一部事務組合の「県北部医療組合」とした。運営は、同じ自治体が出資する一般財団法人の「北部医療財団」による指定管理者方式を採用した。
 実質は公設民営となるが、不採算医療への不安について県は「県が負担する想定」などと対応を説明している。
 公立北部医療センターは22年度に基本設計に入り、26年度の開院を目指す。必要な医師数に関して県は107人と想定し、統合する両病院から北部基幹病院への転籍者や定期採用などで計117人を確保できるとの見通しを示す。
 医師会病院の債務も引き継ぐが、北部基幹病院の収支について毎年度10億円の剰余金を確保できるとしている。
 とはいえ不採算医療への対応や医師確保、経営について県の見積もり通りにいくか。必ずしも不安が払拭(ふっしょく)できたとは言えないのではないか。
 今後の協議会での精査はもちろん、統合による相乗効果をどう最大限に発揮していくのか。住民ニーズを基調とした医療のあり方について徹底した協議を求めたい。



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