<社説>コロナ解雇深刻化 雇用維持に全力を傾けよ

 新型コロナウイルスの感染拡大で雇用情勢が悪化の一途をたどっている。政府や県は取り組みを再点検し、経済団体など関係機関と連携して実効性のある追加策を迅速に打ち出さなければならない。

 厚生労働省によると新型コロナ感染拡大に関連した解雇や雇い止めは、見込みも含めて7月29日時点で全国で4万人を超えた。外出自粛の打撃を受ける宿泊・飲食業のほか、製造業などが多い。5月以降は1カ月弱で1万人のペースで増え続けている。
 だがこれはあくまで労働局が把握した分だ。失業後もコロナで就職活動ができずにいる「隠れ失業」の人も相当数いるとみるべきだろう。
 沖縄の状況も深刻だ。県内の解雇や雇い止めは、見込みも含め878人に上り、1カ月で約250人増加した(7月29日時点)。6月までは非正規労働者の事例が多かったが、7月に入り正規労働者も目立つ。形態を問わず雇用が不安定化している。
 3月まで1倍を超えていた県内有効求人倍率は6月の数値が0・68倍と6年ぶりの低水準に落ち込んだ。リーディング産業の観光を中心にコロナの影響が広がり、雇用情勢は全体的に悪化した。
 先行きも厳しさを増している。7月下旬から県内では感染者が「爆発的」(玉城デニー知事)に増加し、県が独自の緊急事態宣言を再び出した。感染拡大防止が最優先されることは言うまでもないが、経済への影響が懸念される。
 県は営業時間短縮の要請に応じた飲食店に協力金を支給するなどの措置を打ち出したが、求められるのは十分な休業補償や実効性の高い雇用維持策だ。自治体の財源には限界があり、政府が率先して新たに取り組む必要がある。
 政府はコロナによる解雇を防ぐため、企業が支払った休業手当の一部を国が補う「雇用調整助成金」を雇用維持策の柱に据える。だが企業が休業手当を支払わなかったり、手続きの煩雑さを嫌うなどして制度を利用しなかったりする事例が相次ぐ。
 このため政府は労働者に賃金の8割相当を直接給付する制度も創設したが、これも効果を疑問視する声がある。コロナ禍の解雇を規制する強力な仕組みが必要だ。失業対策として行政による臨時の雇用なども進めるべきだろう。
 政府は、2012年12月に始まった景気拡大が18年10月に終わっていたとして、景気後退局面入りを認めた。株高をひたすら重視してきた安倍政権の経済政策「アベノミクス」の限界を示すものだ。人口が減少する中で経済や雇用の足腰を強化する持続可能な取り組みはどうなっていたのか。目下のコロナ対策と併せて検証すべきである。
 解せないのは安倍晋三首相の対応だ。新型コロナ対応の課題は山積しているが、野党からの臨時国会召集の要求に慎重な姿勢を崩さない。早急に国会を開くべきだ。



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