<社説>非正規格差訴訟判決 全ての待遇改善が必要だ

 日本郵便の契約社員が正社員との待遇格差是正を訴えていた訴訟の上告審判決で、最高裁は15日、扶養手当や年末年始勤務手当などを支払わないのは「不合理な格差」に当たると判断した。日本郵便だけでなく、同様の立場に置かれた労働者の待遇改善が図られることが必要だ。

 一方で最高裁は、13日に判決を言い渡した2件の訴訟では、非正規社員にボーナス(賞与)や退職金が支払われないことを不合理な格差とは認めなかった。非正規の待遇格差を巡る訴訟で司法判断が分かれたことは納得がいくものではない。不安定な立場にある全ての労働者の待遇を底上げするのが潮流であり、非正規の格差是正に社会全体で取り組まなくてはならない。
 15日の判決は、郵便局で集配業務などに従事する契約社員に各種手当や休暇が付与されないのは、「有期雇用による不合理な格差」を禁じた旧労働契約法20条に反するのかどうかが争われた。
 最高裁での原告勝訴で、約18万人に上る日本郵便の契約社員の待遇改善が前進する。それとともに、賃金や労働条件に正社員との格差を強いられる非正規労働者にとっても朗報となるものだ。
 今年8月時点で全国の非正規労働者は2070万人に上り、雇用労働者の4割弱を占める。企業の人件費抑制のために正規から置き換えが進み、臨時や限定的な業務という以上の役割を担っている実態は少なくない。厚生労働省によると非正規の平均賃金は正規の3分の2とされ、不合理な格差が横たわっている。
 働き方改革関連法が施行され、仕事内容が同じで能力や成果も同様であれば、待遇も同じでなければならないとする「同一労働同一賃金」の順守が企業に義務付けられた。国も重い腰を上げ、非正規の待遇改善に動いている。
 郵便局職員への判決は格差是正の流れに沿うものだ。その一方で、大阪医科大の元アルバイト職員、東京メトロ子会社「メトロコマース」の契約社員が起こした訴訟の判決との乖離(かいり)があまりに大きい。
 両訴訟で二審の大阪高裁と東京高裁はそれぞれ、非正規社員にも一定の退職金やボーナスが支払われる必要を認めていた。しかし、13日に最高裁は、いずれのケースもボーナスや退職金の不支給は不合理な格差だとはいえないと結論付け、原告の訴えを退けた。使用者側の裁量を広く認め、格差の是正に司法が踏み込むことを避けた格好だ。
 極端に分かれた一連の判決が、個別の判断によって「不合理な格差」を認定する場合もあるという最高裁のバランスをとるためのものだとすれば、裁判所の公平性に疑問を持たれかねない。
 「同一労働同一賃金」の制度運用を鈍らせることがないよう、格差是正に向けた道筋や違法性の基準をより明確に示していくことが司法や行政に求められている。



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