<社説>緊急事態宣言再発令 事業者の損失補償確約を

 菅義偉首相は7日、東京都と埼玉、千葉、神奈川3県を対象に、新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言を発令した。期間は8日から2月7日までの1カ月間とした。

 本来であれば、もっと早い段階で政府は感染拡大を食い止める効果的な手だてを講じる必要があった。7日は東京だけで2447人の感染が確認されるなど感染が爆発的に拡大しており、宣言を発令するタイミングも遅きに失したと言わざるを得ない。
 現状では首都圏の爆発的感染拡大が地方にも影響を与えており、緊急事態宣言を発令して、より強い対策を講じていくことはやむを得ない。宣言の対象ではないとはいえ、沖縄も感染者数がなかなか減少しない状況にある。首都圏と危機意識を共有し、感染抑制に道筋をつけていきたい。
 国内の感染者は7日に初めて7千人を超え、宣言対象の1都3県が半数近くを占める。治療が必要な感染者が、入院先が決まらず調整する事例が増加するなど、医療供給体制が逼迫(ひっぱく)している。
 全国的な感染の「第3波」に対し、政府の対策はことごとく後手に回ってきた。昨年11月25日から「勝負の3週間」として重点対策を呼び掛けながら、「Go To トラベル」キャンペーンは継続にこだわり、感染抑制の効果は上がらなかった。
 「Go To」停止に追い込まれた菅首相は「年末年始を静かにお過ごしいただきたい」と国民に慎重な行動を促したが、首相自身が大人数の夜の会食に出席して批判を浴びた。指導者の言行に不一致があっては、国民と危機意識を共有できるはずもない。
 緊急事態を宣言した菅首相は「1カ月後には必ず事態を改善させる。ありとあらゆる施策を講じていく」と感染を減少傾向に転じさせていく決意を強調した。一方で、「1年近く学んできた経験を基にした対策」と繰り返すだけで、経済活動との両立に執着してきたこれまでの姿勢には触れなかった。
 国民に行動変容を求めるならば、身をもって示すことが肝心だ。夜間の営業制限などさらなる痛みを強いられる事業者や、自粛を求められる国民が納得できるような強いメッセージは、今回も菅首相から伝わってこなかった。
 専門家からは、東京の新規感染者が100人以下に減るまで約2カ月が必要という試算が示されている。飲食業の営業規制に重点を置いた限定的な対策で実効性を伴うのか、慎重な見方がある。
 菅首相は、新型コロナ特措法を改正して事業者への罰則規定を導入し、対策に強制力を持たせることにも言及した。必要なのは私権の制限を強めることではなく、事業者の損失補償をしっかりと確約することだ。要請に不安なく協力できる経済対策を打ち出すことが、感染対策の実効性を高めることになる。



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