<社説>米軍施設50%以下に 実質削減の戦略必要だ

 玉城デニー知事は、全国の70・3%が沖縄に集中する米軍専用施設面積を、50%以下に削減する政府要請を検討している。

 負担軽減に向け意欲的な取り組みに見える。だが、海兵隊など具体的な部隊名でなくなぜ数値目標なのか。日米には「米軍専用」を自衛隊との「共同使用」に置き換えることで見かけ上、面積を減らす意向もある。しかしそれでは数字のトリックにすぎない。
 県民が求めているのは、実質的な削減である。玉城知事は原点を忘れず戦略を持って、日米両政府に負担軽減を強く求めるべきだ。
 今年は、在沖米軍基地11施設、約5千ヘクタールの返還などを決めた日米特別行動委員会(SACO)最終報告から25年を迎える。SACO合意は県内に代替施設建設や施設・機能移転させることが前提となっている。全ての返還が実現したとしても、全国の米軍専用施設の70・3%が沖縄に集中する現状が、69・6%に微減するだけだ。
 知事が求める「50%以下」にするには、なお一層の整理縮小が必要である。
 そこで懸念するのは、数合わせだ。SACO合意後の米軍再編協議で、防衛庁(当時)幹部が米軍の専用施設や区域を自衛隊と共同で使うことで地元の負担を軽減する考えを示している。沖縄の基地面積のほとんどが米軍専用施設だが、他府県は大半が自衛隊基地を米軍が間借りしている。
 ラムズフェルド国防長官(当時)は再編協議で、自衛隊と米軍の協力強化として米軍施設の自衛隊との共同使用に言及している。再編協議の中間報告に「米国は日本政府と協力して嘉手納飛行場、キャンプ・ハンセンそのほかの沖縄にある米軍施設・区域の共同使用を実施する意志も強調した」と明記された。
 米国の有識者で知日派のジェラルド・カーティス氏も「日本における米国の軍事プレゼンスを政治的に可能にするための最善の方法」として共同使用を提案した。
 単純計算で嘉手納飛行場、キャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワブ、北部訓練場の4施設を「共同使用」に変更すると、沖縄の「専用施設」の割合は50%を切る。
 しかし、土地が返ってくるわけではない。むしろ自衛隊と共用することで基地機能の強化につながる。
 かつて大田県政は「基地返還アクションプログラム」を策定し、政府に基地の段階的な返還を迫った。日米を相手にするには、玉城県政も戦略が必要だ。
 そもそも沖縄に米軍基地が集中するのはなぜか。日本と切り離された米国統治に加え、日本国内の在日米軍が削減され海兵隊などが沖縄に移駐したからだ。在沖米軍基地の整理縮小が進まないのは、基地使用権を手放さない米国と、国内の反対運動など政治的なリスクを取りたくない日本政府の怠慢でしかない。



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