<社説>県が緊急事態宣言 政府の失政が窮状招いた

 新型コロナウイルスの感染拡大を抑止するため、県は3度目となる独自の緊急事態宣言を出す。20日から来月7日までの19日間、全県を対象に飲食店などへの営業時間短縮を求めるほか、不要不急の外出自粛を県民に呼び掛ける。

 県民の生命を守るため、さらには医療現場の逼迫(ひっぱく)した状況を少しでも和らげるため、緊急事態宣言はやむを得ない。しかし、県民生活を制限する独自の緊急事態宣言に3度も踏み切らざるを得ない沖縄の窮状は政府の失政が招いたと言わざるを得ない。その責任は極めて重い。
 18日に召集された通常国会で菅義偉首相は就任後初の施政方針演説に臨んだ。その内容はコロナ禍の中で不安を抱える国民の期待に応えるものではなかった。
 菅首相は演説の冒頭、「私が一貫して追い求めてきたものは、国民の『安心』そして『希望』だ」と述べた。その上で「わが国でも深刻な状況にある新型コロナウイルス感染症を一日も早く収束させる」と決意を表明した。
 「安心」「希望」を追求してきたという菅首相の言葉に説得力がないのは内閣支持率の急落を見ても明らかだ。政府が打ち出すコロナ対策が後手に回り、国民の間に不満や不信感が広がっているのだ。
 政府に対する不満は地方自治体も同様である。今月に入り、熊本県や宮崎県、長崎県が独自の緊急事態宣言を出している。国の施策を待てないほど感染拡大が進んでいるのだ。国民や自治体の間で渦巻く不信や不満を政府は認識しているのか疑問だ。
 今国会の焦点となるのが新型コロナ特別措置法や感染症法の改正案だ。政府は22日閣議決定し、国会審議を経て2月初めに成立させる意向だ。ところが改正案は政府は自らの失政の責任を棚に上げ、国民に科料や刑事罰を加える。本末転倒の内容であり、受け入れることはできない。
 新型コロナ特別措置法では緊急事態宣言の前段階として「まん延防止等重点措置」を新設し、営業時間短縮の命令を拒否した事業者に科料を導入する。なぜ、科料が必要なのか理解できない。ここまでコロナ禍が深刻化したのは菅政権がコロナ防止と経済回復の両立にこだわり対応が遅れたからではないのか。
 感染症法は入院を拒んだ感染者らに対し、1年以下の懲役か100万円以下の罰金など刑事罰を設けるというが、国民間の相互監視と分断を招きかねない。撤回すべきだ。医療機関に対しては、感染者受け入れの協力要請を勧告に強化し、従わなければ機関名を公表するというが、逼迫する医療機関の下支えが何よりも急がれる。
 コロナ禍が始まって、もうすぐ1年になる。この間に政府は何をなし、何をなし得なかったのか菅内閣は自己検証すべきだ。そうすれば、罰則を国民に振りかざすような法改正などできないはずだ。



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