<社説>夫婦別姓反対文書 地方議会への不当介入だ

 自民党の国会議員有志が47都道府県議会議長のうち、自民党所属の約40人に選択的夫婦別姓制度導入に賛同する意見書を議会で採択しないよう求める文書を送っていた。

 自由な論議をないがしろにし地方議員に圧力をかける行為であり、地方議会の意思決定への不当介入である。看過できない。
 地方議会は、地方自治法第99条の規定に基づき、国会や関係省庁に意見書を提出することができる。意見書は住民の代表機関としての総意であり、尊重されなければならない。自民党国会議員有志の働き掛けは、地方議会の重要な権限を損なうものである。
 文書は衆参国会議員の有志計50人の連名で作成されている。特にジェンダー平等の旗振り役の閣僚経験者が含まれている点は見過ごせない。
 高市早苗前総務相(元少子化・男女共同参画担当相)、片山さつき前女性活躍担当相、山谷えり子元拉致問題担当相(元党シャドウ・キャビネット男女共同参画担当)である。男女共同参画担当相に就任する前の丸川珠代氏も一員として名を連ねていた。
 選択的夫婦別姓を巡って、法務省の審議会が1996年に民法を見直し選択的夫婦別姓制度を導入するよう答申した。法務省は96年と2010年に導入の改正法案を準備したが、自民などの保守派が「家族の絆が壊れる」と反対し、提出されていない。
 今回の自民党有志の文書は、民法改正に反対する保守派によるものだろう。
 文書は家族単位の社会制度崩壊を招くといった理由で選択的夫婦別姓の導入に反対しており、地方議会で実現を求める意見書を採択しないよう訴えている。相次ぐ夫婦別姓を求める地方議会の意見書採択に対する圧力である。
 しかし、自民党内にも「すべての家がそれぞれに合った形で次の世代につなげるため、選択肢を増やすべきだ」「自分らしく生きる人々を制度で後押しすべきだ。氏の継承を排除する法制度はおかしい」などと、選択的夫婦別姓制度導入に賛成意見がある。
 自民党有志の文書は、党内の統一見解でないばかりか、国際社会や司法、国内世論にも逆行している。
 国連女性差別撤廃委員会は日本に民法の差別的規定を廃止するよう勧告している。2015年の最高裁判決は「夫の氏を称することが妻の意思に基づくとしても、意思決定の過程に現実の不平等と力関係が作用している」と指摘し国会に議論を促している。
 内閣府が2018年2月に公表した世論調査で、選択的夫婦別姓制度に賛成する人は過去最高の42・5%だった。姓が違っても家族の一体感に影響はないと考える人は64%に上っている。
 家族の在り方は多様化している。誰もが望む姓で生きられる社会に向けた取り組みを、地方議会を冒涜(ぼうとく)するやり方で後退させてはならない。



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