<社説>コロナ「第4波」到来 対策徹底するしかない


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 玉城デニー知事は新型コロナウイルス感染者数が再拡大し、流行の「第4波」との認識を示した。

 県は4月1日から3週間、本島20市町村の飲食店と遊興施設に対し午後9時までの営業時間短縮を要請する。
 2月末の3度目の緊急事態宣言解除から1カ月で再び時短要請に踏み切ることになった。変異株の広がりも懸念される。県民一人一人が感染防止策を徹底することで「第4波」を最小限に抑えたい。
 玉城知事は29日の記者会見で「驚異的な速度でリバウンド(再拡大)が起こっている」と述べた。3週間で改善が見られなければ「さらに深刻な影響を及ぼしかねない」と注意喚起した。
 29日時点の直近1週間の新規感染者数、療養者数はいずれも警戒レベルの「感染蔓延(まんえん)期」に達している。20~40代の若い世代、飲食関連が急増している。このため県は、歓送迎会や新歓コンパ、飲食につながるイベントなどは自粛を要請。清明祭は同居家族らと、少人数かつ短時間での実施を呼び掛け、会食は4人以下・2時間以内を求めた。
 さらに時短要請に応じた事業者に協力金84万円を支給する。経済界から、時短要請の対象事業者以外に影響を受ける業種に対して、支援策を求める意見がある。
 県は感染拡大で観光など地域経済が低迷し、税収の減少率が13.6%と全国で最も高い。苦しい「台所事情」が続く。財政的な裏付けには限界があるだろう。国の支援が不可欠だ。
 営業時間は前回より1時間延長し、午後9時までとした。県飲食業生活衛生同業組合の意向を反映したのだろう。鈴木洋一理事長は、営業時間について「午後8時だと予約が入りにくい。9時閉店なら、感染を抑えつつ半分くらいは経済活動を回せる」と要望していた。
 気になるのは変異株の広がりだ。県内の新型コロナウイルス患者88人の検体を国立感染症研究所に提出したところ、4分の1に当たる22人から変異株が確認された。ほとんどが従来株よりも免疫やワクチンの効果が低下する可能性が指摘されている「E484K」だった。
 最近の感染拡大について糸数公保健衛生統括監は「変異株は少しずつ広がっている可能性がある」と述べている。直近1週間の人口10万人当たりの新規感染者数は33.73人。沖縄は全国で2番目に高い。専門家は変異株が「第4波」を招くと警鐘を鳴らしていた。変異株が広がっている可能性がある。
 しかし、変異株の検査体制は不十分で、実態把握ができていない。玉城知事は変異株の検査体制を拡充する方針を示した。
 自治体任せにせず政府主導で変異株の検査体制を早急に拡充すべきだ。同時に変異株に対する有効な対策を示してもらいたい。