<社説>男女平等日本120位 男性社会の改革が必要だ


社会
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 日本は世界から取り残されていることを自覚したい。スイスのシンクタンク、世界経済フォーラムが発表した男女格差報告で、日本は156カ国中120位だった。前回2019年の報告では121位で、低迷が続いてる。先進7カ国では63位のイタリアから大きく離され最下位だ。

 特に女性の政治参画が遅れており、147位だ。前後には、女性の社会的な活動を奨励しないイスラム教の国が並び、先進国としては異例の低さだ。経済分野でも管理職の割合の低さから117位と低水準だった。
 背景には「男は仕事、女は家庭」という性別役割意識など根強い固定観念や、女性の参画を妨げる仕組みがある。男女平等社会を実現するには、男性中心社会を変え、女性の参画を促す仕組みを拡充することが必要だ。
 政府は03年に、20年までに指導的地位に占める女性の割合を30%にする目標を掲げたが、達成には遠く及ばない。
 政治の分野では、候補者数をできる限り男女均等にするよう求める法律が施行されたが、現状はほど遠い。女性の政治参画を促すには政党の意識が問われる。女性候補擁立への努力や仕組み作りが求められる。供託金や選挙費用の改善も課題だ。経済協力開発機構(OECD)加盟35カ国中、供託金制度があるのは12カ国で、日本は最高額だ。女性は非正規雇用の割合が高く、男女で賃金格差も大きい。制度を見直して女性が立候補しやすい環境を整えるべきだ。
 女性の政治参画を抜本的に進めるには、候補者や議席の一定割合を男女に割り当てるクオータ制の導入が有効だろう。一方で経済界も女性を管理職に積極登用したり、正社員採用を促したりする努力が求められる。
 最も大切なのは、男性たちの意識変革だ。東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(当時)が「女性の入っている理事会は時間がかかる」などと述べた発言は、女性への偏見が根強いことを表す。偏見や差別をなくすよう、男性側が変わらなければ男女平等社会は実現しない。
 育児休業取得率は、男性側の意識改革を測る象徴的な指標である。19年度は女性が83・0%に対し男性は7・48%。男性の育休は増える傾向にあるが、いまだ低い水準である。
 コロナ禍が男女格差に深刻な影響を与えている。昨夏以降、若い女性の自殺者数が増えている。休業や失業が主因とみられる。不況時の自殺は中高年の男性が多い傾向にあったが、全く異なる事態だ。働く女性の半数は非正規雇用であるため、休業や失業のあおりを受けやすい。支援が必要だ。在宅勤務の中で、女性に偏りがちな育児や家事の負担も一層重くなる傾向にある。
 男女平等社会に近づくためには、女性への固定観念や偏見をなくし、就業や雇用形態、収入面でも男女平等を目指すことが肝要だ。