<社説>海外で別姓婚「有効」 選択制実現へ議論急げ

 米国で別姓のまま結婚した夫婦が日本でも婚姻関係にあることの確認を求めた訴訟の判決で、東京地裁は訴えを退けたものの、二人が別姓であっても婚姻自体は日本でも有効と認めた。

 海外で合法的に成立した「別姓婚」が、日本でも公的に認められるかどうかが争われたケースで初の司法判断となった。選択的夫婦別姓を巡る法改正の議論に一石を投じたと言える。国会は判決を真摯(しんし)に受け止め選択的夫婦別姓実現へ議論を加速すべきだ。
 訴訟で原告は「米国で別姓のまま合法的に成立した婚姻関係は、日本でも成立する」として、日本の戸籍に夫婦であることを記載するよう求めた。また、外国で結婚した別姓夫婦の婚姻関係を公的に証明する法制度がないのは「国の立法不作為だ」と訴えた。
 国側は「一つの姓を定めない婚姻は日本で成立しない」と主張したが、判決は婚姻の方式を「挙行地の法による」と法律で定めているため、米国で成立した婚姻は、姓を決定する以前に「日本でも成立する」とした。
 一方、戸籍への記載に関して「戸籍法に基づき、家裁に不服を申し立てる方が適切だ」とし訴えを却下した。
 原告弁護団は、別姓のままでの戸籍記載を否定したわけではなく、戸籍記載される可能性があると捉えている。
 選択的夫婦別姓を巡って、法務省の審議会が1996年に民法を見直し選択的夫婦別姓制度を導入するよう答申した。法務省は制度導入の改正法案を準備したが、自民党保守派が「家族の絆が壊れる」と反対し、提出されていない。
 スイスのシンクタンク、世界経済フォーラム(WEF)が今年3月に発表した「男女格差報告」(ジェンダー・ギャップ指数)で、日本は156カ国中120位だった。夫婦同姓を現在も法律で義務付けている国は日本だけだ。国連女性差別撤廃委員会は、日本に対し夫婦に同姓を強いる制度を改善するよう繰り返し勧告している。
 にもかかわらず、夫婦別姓導入など法改正を求める女性差別撤廃委員会の文書(18年12月)を外務省は2年以上放置していた。
 文書が内閣府の有識者検討会に提出されないまま、政府は昨年末に第5次男女共同参画基本計画を閣議決定。原案にあった「選択的夫婦別姓」という言葉は最終的に削除された。国連勧告を放置した結果、その趣旨が国の基本計画に反映されなかった。外相が陳謝して済まされる話ではない。
 婚姻の際に女性の96%が改姓している。15年の最高裁判決は「夫の氏を称することが妻の意思に基づくとしても、意思決定の過程に現実の不平等と力関係が作用している」と指摘し、国会に議論を促している。
 国連をはじめ司法からも論議の必要性を指摘されている。国会がこの問題に目をつぶることは許されない。



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