<社説>コロナ緊急事態宣言 沖縄渡航前に全員検査を

 新型コロナウイルスの感染対策で、政府は23日から沖縄県に緊急事態宣言を発令した。県内では22日、231人の感染者が確認され過去最多を再び更新した。事態は深刻だ。県独自も含め発令は4度目で我慢は限界に達しつつある。今度こそ、抜本的効果が求められる。

 感染拡大の最大の原因は大型連休中の人の移動とみられている。県外からの感染流入のほか、変異株のまん延、時短要請に応じない店舗が多く出るなど不安要素は尽きない。
 今後は休業や外出自粛などの順守をはじめ来県者への水際対策の強化が肝心だ。沖縄への渡航前のPCR検査を全員に義務付け、陰性者だけ出発を認める対策を国に求めたい。国内渡航で検査を義務付けた米ハワイの事例もある。
 自民党の細田博之元官房長官は19日の会合で、玉城デニー知事に対し「県境を封鎖するつもりでどんどん検査をして通った者を通す。そういう対策を取るべきだ」と主張した。県独自で検査すべきで「国の政策に頼るなんて、沖縄県民らしくない」とも発言した。
 検査の徹底はいい。だがそれは本来、国の責任であって県ではない。筋違いだ。責任のすり替えは政権与党の重鎮として無責任極まりない。
 県は那覇空港で希望者への検査費補助など対策を講じているが実効性に乏しい。その中で大型連休に沖縄訪問者が前年と比べて大幅に増えた。
 ソフトバンクの子会社が携帯電話位置情報を基にした推計では、4月29日~5月5日の来県者は昨年の大型連休時の約7・8倍に上る。日航と全日空によると同期間の旅客数は前年比で10倍前後だ。
 県の試算では、県内空港での全員検査は、コロナ前の実績約761万人だとすると約228億円を要する。このため県独自では無理だとして国に出発地点での検査徹底を求めてきた。県はコロナ対策や税収不足を補うため、財政調整基金約133億の約7割を本年度で取り崩す方針で財政は厳しい。検査は国の責任で実施すべきだ。
 今回沖縄が宣言地域に至った経緯を見ると、政府と県、双方に見通しの甘さがある。早く強い措置に踏み込まない背景には経済重視だけでなく、事態を楽観視していないか。
 政府は当初、北海道から札幌市を宣言地域に加えるよう求められても追加しない方針だったが、専門家の強い意見を受け転換した。その時点で沖縄も追加してもおかしくない感染指標数値だった。政府の判断の甘さを棚に上げ、経済界の反発を受けて酒類提供を停止しなかった県だけに責任を問うのはおかしい。一方の県も感染拡大を防げなかった結果責任は免れない。
 政府と県は行政の垣根を越え、これまでの対策を検証し、真摯に改善を図るべきだ。とりわけ水際対策は重要だ。沖縄にとって夏の観光シーズンをどう迎えるかは死活問題だ。水際対策は試金石となる。



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