<社説>合同委議事録不開示 命より対米重視に抗議

 米軍嘉手納基地周辺の河川から発がんリスクなどが指摘される有機フッ素化合物(PFAS)が検出された問題を巡り、外務省が基地内立ち入り調査に関する日米合同委員会の議事録や関係資料を不開示とする決定を下していたことが明らかになった。

 公にすることで「国の安全が害される恐れ」や「米国との信頼関係が損なわれる恐れ」などがあると説明している。国民の命より国家の安全と対米関係が大事なのか。県民軽視の姿勢に強く抗議する。
 政府に合同委の議事録と関係資料の開示、汚染原因特定のため基地内の立ち入り調査の早期実現を求める。
 県内の有機フッ素化合物のPFOSやPFOA問題は、2016年1月に県企業局の調査で発覚した。
 県は同年6月に基地内への立ち入り調査を求めたが、米軍は拒否した。国が水道水中のPFOSとPFOAに関する暫定目標値を設定したことを受け20年5月、県は沖縄防衛局を通して再び基地内への立ち入りを求めたが、現時点で政府から正式な回答は来ていない。
 PFASは自然環境中でほとんど分解されない。人や動物の体内に長く残留する。発がん性のほか、出生時の体重に影響が生じる。
 小泉昭夫京都大学名誉教授(環境衛生学)が指摘するように「5年間も汚染源の特定すらできず放置されている状況は深刻な問題」であり、県民の命を長期間危険にさらし続けている。
 県企業局が管理運営する北谷浄水場は、PFASを除去するため総工費が当初予定の13億円から約16億円に増加した。3分の1は水道料金を財源とする企業局予算から捻出する。本来必要のない支出だ。
 日米合同委員会は日米地位協定に基づき設置され、外務省北米局長と在日米軍副司令官が両政府を代表する。外交官ではない軍人がトップに立つのは文民統制の観点からいびつだ。沖縄返還を機に駐日米大使が、日米合同委の代表権を米軍から大使館に移管するよう求めたが拒否され、現在に至っている。
 議事録や協議内容は原則的に非公開で決定過程が不透明だ。国会や国民の目の届かない場で、凶悪犯罪を除き米兵の裁判権を日本側が放棄した秘密合意などが交わされた。
 韓国は17年の韓米合同委員会で、軍事機密など内部情報を除き公開可能な情報を国民に公表することを合意した。なぜ日本はできないのか。米国に従属する姿勢は主権国家とは言えない。米軍に特権を与える日米地位協定を根本的に見直さなければならない。
 一連の資料は琉球朝日放送報道制作局が開示請求した。同局ディレクターは「日米政府間で具体的な議論が積み上げられた形跡すら感じられない」と指摘する。行政の不作為が明らかになることを恐れたから不開示なのか。そう勘ぐられても仕方ない。



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