<社説>香港民主制 骨抜き 中国は強硬姿勢改めよ

 香港立法会(議会)で27日、選挙制度の見直しに関する条例案が賛成多数で可決された。当局が認定する「愛国者」以外は立候補できなくなり、香港の政治から民主派勢力が排除される内容だ。

 中国の習近平国家主席が主導する「愛国者による香港統治」は、香港の政治、行政、立法の人員を、共産党に反対しない「愛国者」で構成することを狙ったものだ。その総仕上げとなる選挙制度の見直しが完了したことにより、香港の民主主義は骨抜きになり「一国二制度」は事実上終了したといっていい。
 「香港人による香港統治」という高度な自治の保障は、香港返還に際して中国が国際社会に示した約束のはずだ。香港市民の自由を封じ、力ずくで中国共産党の支配を行き渡らせようとする習指導部の強硬姿勢を認めるわけにはいかない。国際社会の声を高めて、中国に専制主義を改めさせなければならない。
 新制度は、立法会選挙などへの立候補者が「香港への忠誠」という条件を満たしているかどうかが審査される。また、政府トップの行政長官を選ぶ「選挙委員会」の定数は1200から1500に増枠し、増えた分は中国と関係の深い組織に割り当てる。選挙への立候補には、親中色が強まる選挙委員会からの推薦も必要となる。
 親中派が確実に多数を握る仕組みをつくり、立候補に当たって中国共産党が認める「愛国者」となるかどうか踏み絵を踏ませる。徹底排除される民主派勢力は、厳しい対応を迫られることとなる。
 選挙制度見直し案の採決は賛成40、反対2だった。だが、立法会の定数は70であり、3分の1は採決に加わっていない。香港国家安全維持法に反対した民主派議員4人の資格を香港政府が剥奪(はくだつ)し、それに抗議した議員15人が一斉辞職した後だからだ。
 異を唱える議員を強権で排除して議会を無力化した上で、国家の都合のいい選挙制度に作り替える。ワイマール共和国の議会制民主主義に終止符を打った、ドイツのヒトラーの手法そのものである。
 国際社会からの批判を「内政干渉」として突っぱねる中国の姿勢は通用しない。香港は、中国本土と異なる独自の制度と民主主義が認められた地域だからだ。香港の憲法に当たる香港基本法は、1984年の中英共同宣言に基づき、香港返還後も50年間は、資本主義を維持し「高度の自治」を香港に認めると規定している。習指導部のやり方は明らかに基本法に反している。
 香港の完全掌握の先に、武力を背景にした台湾の統一という習氏の野心があるのだろう。米国は同盟国を巻き込んで台湾問題への関与を強めている。沖縄も戦争に巻き込まれる危険性が高まるなど、深刻な影響が及んでいる。
 東アジア地域の安定のためにも、香港の自治侵害を放置することはできない。



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