<社説>宮古島に弾薬輸送 追加搬入やめ説明尽くせ

 陸上自衛隊は、宮古島市城辺保良の陸自保良訓練場にミサイルなどの弾薬を搬入する作業を始めた。陸自は搬入物などの詳細を明かさないまま、今後さらに地対艦、地対空ミサイルの海上運搬を検討している。

 弾薬搬入によって宮古島が攻撃対象になり、住民の生命財産が危険にさらされる可能性が飛躍的に高まる。
 それにもかかわらず陸自が秘密裏に搬入を強行したことに抗議する。住民の不安を取り除くため追加の搬入を直ちに中止し、県と宮古島市に納得のいく説明をすべきだ。
 陸自は2日、輸送ヘリコプター2機で弾薬を宮古島に運び込んだ。宮古島市の座喜味一幸市長は「市民の安全確保」を理由に詳細の公開を求めたが、防衛省は「機密」を盾に拒んだ。陸自が市に電話連絡したのは到着の約1時間前。弾薬を保良訓練場に運搬するとだけ伝え、時間やルートは伏せたままだった。
 沖縄県にも十分な情報が事前に共有されていない。作戦遂行を何よりも優先する軍の論理が如実に表れている。
 海洋進出を強める中国をにらみ、自衛隊は南西諸島に部隊を配備する「南西シフト」を進めている。保良訓練場は2019年に建設が始まり、20年4月までに建設予定の弾薬庫3棟のうち2棟が完成した。与那国にも部隊配置し、石垣で駐屯地建設が進む。
 陸自はミサイル改良も進める。12式地対艦誘導ミサイルの射程を現在の百数十キロから約900キロに伸ばす。相手の射程圏外から攻撃できる「スタンド・オフ・ミサイル」として配備する計画だ。
 改良ミサイルは中国大陸まで届く能力を持ち、「敵基地攻撃」に転用可能とされる。「敵基地攻撃」は憲法に沿って掲げてきた専守防衛を逸脱する。宮古島に搬入を進めている弾薬は、いずれ「敵基地攻撃」が可能な改良型12式地対艦ミサイルに置き換わるだろう。その結果、有事の際に島が攻撃目標にされる。
 米軍も中国抑止のため、アジア太平洋地域に地上発射型の中距離ミサイルの配備を描く。在沖米軍基地に配備される可能性が高い。米中が衝突すれば、米軍基地が標的にされ、県民が戦争に巻き込まれる危険性が高まる。
 特に台湾海峡を巡り米中が対立を深めている現在、軍事衝突が起きれば南西諸島が最前線となる。15年に成立した安全保障関連法に基づき、日本が直接攻撃を受けていなくても米中衝突によって「存立危機事態」と判断すれば、自衛隊が武力行使できる。その場合、自衛隊が配備されている宮古、与那国などが巻き込まれるのは必至だ。
 日本の安全保障の「防波堤」として県民の命が脅かされる事態は到底受け入れられない。攻撃対象になる事態を招く弾薬搬入が秘密裏に進められることは看過できない。日本政府は米中の間に立って平和的解決こそ目指すべきだ。



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