<社説>自治体計画4割義務 分権改革を後退させるな

 「国と地方は対等」とうたった地方分権改革と明らかに逆行している動きだ。

 国は分権改革の理念に沿って地方自治体の裁量権拡大に取り組んできた。しかし国が法律で依然として自治体を縛っている実態が内閣府の調査で明らかになった。自治体は行政運営や政策を、500超の国の法律に基づき実施している。その際、理念や目標、具体策などを示す計画の作成を義務付けるものが約4割に上り、増加傾向にあることが分かった。
 国は、地域の実情に合った行政を運営するという地方分権の本旨に立ち返り、義務付けを抜本的に見直して撤廃や緩和を進めるべきだ。
 国が地方自治体の自治事務の実施やその方法を縛ることを義務付け・枠付けという。国が全国一律で決めている基準や施策などで「~してはならない」「~しなければならない」と自治事務を縛る規定だ。
 2000年の地方分権一括法の施行で国が包括的な指揮監督権限を持っていた機関委任事務が廃止された。これにより国の事務を自治体が受託する法定受託事務と、自治体の裁量で実施できる自治事務に区分された。この自治事務を国が法令で縛るのは、分権改革に逆行するとして義務付けの見直し論議が始まった。
 義務付けの見直しと、自治体の条例制定権を拡大して基準や施策などを自治体が自ら決めることとは車の両輪の関係にある。地域の実情に合った最適な行政サービスを行う狙いがある。
 対象は、保育所の設備・運営に関する基準や公営住宅の入所基準、道路整備の規制など、地域住民の生活に深く関わる多岐の分野に及ぶ。
 沖縄県の例では、ファミリーホームに委託された児童が、里親に委託された児童と同様、保育所に入所できることを明確化するよう、他県の自治体とともに政府に求め、認められた経緯がある。
 国はこれまで何度も義務付けや枠付けを見直してきた。09年には政府の地方分権改革推進委員会が見直しを勧告した影響により、12年は172規定まで減った。だが13年からは増加に転じている。
 国が計画作りを自治体に求める背景には、国が依然として地方の上に立ち、主従関係を維持したい思惑があるのではないか。地方の行政に深く関与したい狙いも透ける。一方、全国知事会は作成には労力と予算がかかり負担が大きいとして、抜本的見直しを求めている。国はこの要求に真(しん)摯(し)に向き合うべきだ。
 そもそも地方分権は、自治体の自己決定権を拡大することで、住民自治や議会を活性化させ、特色ある地域づくりを実現する狙いがある。その流れを止めてはならない。
 内閣府は今後、義務付けの緩和を関係省庁に働き掛ける方針だが、自治体の意向を聞きながら大胆に緩和や廃止を進めるべきだ。分権への本気度が試されている。



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