<社説>沖国大ヘリ墜落17年 欠陥飛行場の即時閉鎖を


社会
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 宜野湾市の沖縄国際大に米海兵隊所属の大型輸送ヘリCH53Dが墜落、炎上した事故から、13日で17年を迎えた。学園が炎と黒煙に包まれる最悪の事態が現実となり、危険と隣り合わせの日常を一刻も早く終わらせることを私たちは訴えてきた。だが、市民や学生の頭上を米軍機が飛び交う光景は変わってない。

 米軍普天間飛行場は住宅や学校施設に近すぎることに加え、不時着や部品落下が頻発する老朽機を抱えた欠陥飛行場だ。ヘリ墜落から17年がたっても運用を続けていることは、政治の不作為というほかない。移設条件と切り離し、直ちに閉鎖すべきだ。
 米軍や日本政府が繰り返す「再発防止」は言葉ばかりであり、沖国大ヘリ墜落以降も普天間飛行場に絡む事故は枚挙にいとまがない。
 沖国大に墜落したのと同じCH53ヘリは、2017年10月に東村高江の民間牧草地で不時着炎上し、同年12月には普天間第二小学校の校庭に金属製の窓を落下させている。今年7月に、渡名喜島沖にコンテナを落下させたのもCH53ヘリである。
 CH53に限らず、普天間飛行場所属機のトラブルが続いている。今年6月、UH1Y多用途ヘリが飛行中に警告灯が点滅し、津堅島の畑に不時着した。7月には宮崎県で、やはり普天間所属のAH1Z攻撃ヘリが畑に不時着した。
 事故を繰り返すのは機体整備や点検のずさんさだけではない。機体が老朽化して事故を起こしやすいことや部品の供給不足といった、米軍が抱える組織・構造的な問題が指摘されている。近年では台湾情勢などを念頭に訓練の使用頻度が高くなり、事故発生の確率がさらに増している。
 訓練の増加に伴い所属機以外の外来機も相次いで飛来し、耳をつんざく騒音被害が増している。墜落事故を省みて飛行場の運用を低減させるどころか、基地機能を強化し、周辺住民の生活侵害が進んできたのが実態だ。
 沖国大ヘリ墜落で死者が出なかったのは本当に奇跡的だった。沖国大事故以降、普天間飛行場絡みで人身被害が出ていない幸運に委ねて日米両政府が欠陥飛行場の危険性を軽視し、米軍の訓練継続を優先しているとすれば許し難い。
 日本政府は仲井真県政時に普天間飛行場の「5年内の運用停止」を約束した。だが、19年2月の期限を過ぎても飛行場の使用は続いている。
 菅義偉首相は辺野古移設を「唯一の解決策」として強行するが、狭い沖縄の中で基地をたらい回しにしたところで危険性は変わらない。そもそも、辺野古新基地は軟弱地盤の存在により実現可能性が揺らいでいる。政府自身も完成時期が大幅に遅れることを否定できなくなった。
 危険除去を遠のかせる県内移設は普天間問題の解決策ではない。取り返しの付かない被害を招く前に、即座に運用を止めることだ。