<社説>「地毛証明」廃止へ 人権を尊重する校則に

 日本も批准する「子どもの権利条約」では、子どもは保護対象でなく独立した人格と尊厳を持つ権利主体と位置付けられている。

 条約の観点からすれば、県教育委員会が、頭髪が生まれつきの色であることを示す「地毛証明」を廃止する方針の検討を始めたのは、当然であると同時に遅すぎた。
 頭髪に限らず、校則に残る生徒への人権侵害を排し、個性を尊重する学校へと変わる契機にすべきだ。
 校則見直しに当たっては、教職員だけで議論するのでなく、当事者である生徒の意見を反映する場が求められる。
 県教育委員会が県立高校(全日制課程)58校に実施した「校則見直しに関する調査」によると、「地毛証明」の提出を義務付けているのは17校、任意の提出を求めるのが26校で合計43校、74%に上った。
 髪を染めることを禁止するのは、全体の秩序維持や行き過ぎた自由を抑制するためだという意見もあるだろう。
 だが冷静に考えてもらいたい。「あなたの肌の色は生まれつきのものか」と聞くことは明白な差別だ。頭髪の色が必ず黒であるというのは偏見である。一人一人違うのが当然であり、本人が証明すべき事柄ではない。
 県教委も廃止通達の文書を送る理由として「人権侵害に当たる」と認めている。
 「地毛証明」以外にも下着の色などを細かく規制する校則は各地の学校に残る。
 生徒の人権を尊重する世論の高まりを受け、6月に文部科学省は社会や時代の変化に合わせて校則を見直すよう求める通知を都道府県教委に出している。
 7月には生徒指導に対応する教員用手引書の改訂に向け、有識者会議を開いた。現在の手引書も校則に関して「絶えず積極的に見直さなければならない」と記載しており、校則見直しの流れはさらに進むだろう。
 県内の事例では「眉そり」禁止の校則があるために、外見にコンプレックスのある生徒が眉を整えたことから指導を受けた。このため部活動で大会出場の機会を奪われそうになり、「周囲に迷惑をかけた」ことを理由に同級生らのいじめにつながった。
 個性や尊厳を無視した校則は、県内の事例のようにいじめなどのより重大な人権侵害を生む可能性すらある。
 「地毛証明」などの人権侵害を廃止するだけでなく、性的少数者(LGBT)が自認する性に合った制服を選べる「制服選択制」の導入など、より生徒の個性を尊重する方向に見直すべきであろう。
 最終的に校則を決める権限は校長にあるが、見直しに当たっては民主主義の基本である事実に基づく議論、少数の意見を尊重せねばならない。
 子どもの権利条約12条は、自らに影響する全てのことに子どもの意見表明権を保障する。全ての学校で活発な議論が起きることを期待する。



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