<社説>日米英空母訓練 南西海域の緊張高めるな

 沖縄周辺の海と空で、臨戦態勢と言えるほどの軍事行動が繰り広げられている。

 日米英をはじめ6カ国は2~3日、沖縄の南西海域で空母3隻が出動する共同訓練を実施。訓練に対抗して中国は1~4日の4日間で149機もの中国軍機を、台湾の防空識別圏に進入させた。
 米中の両陣営が力を誇示し合う最前線として南西諸島が巻き込まれている。日本政府が本当に航行の自由を尊重する立場をとるのであれば、米国と一体となって南西海域の軍事的な緊張を高めるのではなく、平和な海のため協調的な外交を尽くすべきだ。
 沖縄の南西海域で共同演習を行ったのは米海軍の原子力空母ロナルド・レーガンとカール・ビンソン、英空母クイーン・エリザベスで、海上自衛隊のヘリコプター搭載型護衛艦いせなども参加した。
 空母3隻の結集は、1996年の台湾海峡危機で米側が派遣した2隻を上回る規模だ。台湾への圧力を強める中国との間で、互いに示威行為を繰り返している。
 在沖海兵隊も9月27日から10月1日に、洋上のカール・ビンソンと攻撃目標をデータで共有する訓練をしていた。海兵隊が攻撃拠点を確保し、海軍をサポートする新作戦「遠征前方基地作戦(EABO)」の一環だ。海上の軍事作戦に、在沖米軍基地や部隊も密接に関わっている。
 四国沖では3日、海上自衛隊の護衛艦いずもに、米海兵隊のF35Bステルス戦闘機が発着する試験が実施された。護衛艦の空母化に向けて一歩を踏み出すものだ。
 航空機を搭載する空母は「海上の航空基地」の役割を担う。専門家が指摘するように、敵国に近づいて制空権を奪ったり基地を攻撃したりする作戦の中核を担う艦船だ。こうした攻撃機能を持つ空母の運用は憲法の専守防衛の原則に反するもので、容認できるものではない。
 6カ国は4日からは中国が大半の領有権を主張する南シナ海に移って、共同演習を実施している。米国が同盟国を動員して中国をけん制する包囲網を敷く中で、より実戦的な役割と負担を自衛隊にも担わせようとしている。
 岸田文雄首相は自民党総裁選で「敵基地攻撃能力」の保有に前向きな考えを示したが、これも専守防衛に抵触する。憲法の歯止めを無視し、なし崩しに戦争準備が進むことを許してはいけない。
 米国のバイデン政権は、英豪との安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」の創設に当たって、オーストラリアに原潜導入へとかじを切らせた。核不拡散体制に懸念を生じさせるような軍拡競争を促している。
 このままではアジア太平洋は安全保障のジレンマに陥り不安定化するばかりで、「自由で開かれた」海と逆行する。不測の軍事衝突の事態を回避するため、国際的な対話の枠組みが急務だ。



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