<社説>戦後3番目低投票率 深刻な政治不信の表れだ

 第49回衆院選の投票率は戦後3番目に低い水準だった。「政治とカネ」の問題や森友・加計学園問題などが深刻な政治不信を招き、若者の政治的無関心も加わり有権者を投票所から遠ざけたのだろう。

 国民主権を基本原則とする民主主義国家で、投票率の低下は、民主主義の基盤を揺るがす。政治に対する信頼を回復するため、岸田文雄首相は森友学園を巡る財務省の決裁文書改ざんなどの再調査の実施など、具体策を明確にしてもらいたい。
 衆院選の小選挙区投票率は55・93%、比例代表55・92%となった。前回2017年の衆院選は小選挙区、比例代表とも53・68%で、小選挙区は2・25ポイント上回ったが、戦後3番目の低さだった。衆院選は4回連続で50%台となった。
 今回の衆院選小選挙区で自民党は追加公認を含めて計189議席を獲得した。全体の65%を占める。
 投票を棄権した人も含めた有権者全体のうち、何%がその党の候補に投票したかを示す指標として「絶対得票率」が用いられる。今回自民党の絶対得票率は26・4%だった。つまり自民党支持は4人に1人にすぎないが、小選挙区で全体の3分の2近い議席を獲得したことになる。自民党が圧倒的に支持されたわけではない。
 自民党勝利の背景に低投票率があるとみられる。投票率が低ければ、一定の固定票がある自民党に有利に働くと言われている。
 低投票率の要因として解散から投票まで期間が短かったことがありそうだ。政策論争が深まらず、対立軸が鮮明にならなかったことで、有権者の関心が高まらなかった。新型コロナウイルスの感染は下火になりつつあるが、いまだ警戒感があることも投票率の低さの要因だろう。
 加えて深刻な政治不信が横たわる。第2次安倍政権で起きた森友・加計問題、「桜を見る会」を巡る政治の私物化問題、参院選広島選挙区の買収事件、「政治とカネ」の問題などだ。
 しかし、岸田首相(自民党総裁)は選挙後の記者会見で「必要なら政治の立場から説明することが大事だ」と述べるにとどめ、再調査には言及しなかった。政治不信を払拭(ふっしょく)するには、安倍・菅政権を総括し、「1強」政治との決別が欠かせない。岸田首相はリーダーシップを発揮してもらいたい。
 日本学術会議は14年、投票率低下への対応策を提言した。学術会議は低投票率と若年層の投票率低下を「政治の民主主義的正統性を揺るがしかねない」と指摘する。選挙運動の規制見直しによる活性化、金権選挙をけん制する政治の透明性増大を提言している。小中学校からの主権者教育も提案した。
 政治不信と政治への無関心を解消することが国会議員に課せられていることを自覚してもらいたい。



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