<社説>立民新代表に泉氏 辺野古「中止」公約実現を


社会
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 立憲民主党の新代表に泉健太政調会長が選出された。国民の声に耳を傾け国民本位の政治を実践し、政権の選択肢として認められる政党になるよう望みたい。40代の若きリーダーとして泉氏の手腕が問われる。

 沖縄にとって最大の懸案は名護市辺野古への新基地建設問題である。立民は衆院選公約で「中止」を打ち出した。代表選立候補者討論会で泉氏は新基地建設を「いったん中止」と明言した。新基地反対の公約をぶれずに実現するよう求める。泉新体制の動向を県民が注視していることを忘れてはならない。
 立民は衆院選で野党共闘を実現し自公との対決姿勢を鮮明にした。競り合いに持ち込んだが躍進にはつなげられなかった。ただし1万票差以内で敗れた選挙区は30を超える。野党共闘は一定の効果があったとみるべきだろう。
 泉氏は来夏の参院選に向け、共産党との野党共闘の在り方を修正する方針を示した。だが、議席が伸びなかった真の理由は、有権者に日本の将来像を示し、個別の政策をしっかり届けられなかったからではないか。
 泉氏は「国民の目線で国民中心の政治をしていく」と述べ、党再生への決意を表明した。再生に向けた具体策を早急に提示する必要がある。
 衆院選の結果、自民、公明両党と日本維新の会など「改憲勢力」の議席数が国会発議に必要な定数の3分の2(310議席)を超えた。
 岸田文雄首相は、衆院選期間中は改憲に積極的に言及しなかったが、選挙後は改憲を来夏の参院選の争点にする考えを示している。改憲論議を担う党組織の名称を「推進本部」から「実現本部」へ変更するなど、保守層へのアピールを意識している。
 改憲勢力は国会で改憲論議に前向きな姿勢を示している。では泉新代表の下で憲法論議に応じるのか。
 「論憲」の立場の泉氏は「政治家の手柄のための改憲は必要ない。自己目的化はおかしい」と断じた。その上で、改憲手続きに関する国民投票時のCM規制を定める議論を進めるよう求めている。改憲勢力は、憲法を改めることでしか問題が解決しない理由を明確にした上で、国会で熟議が必要だ。
 一方、新基地建設を巡り、沖縄は正念場を迎えている。玉城デニー知事は11月25日、軟弱地盤の存在に伴う国の設計変更申請を不承認とした。翁長前県政が埋め立て承認を取り消し・撤回した時のように、政府が一体となって県の判断を封じることが想定される。
 泉氏は米軍普天間飛行場の移設先を「最低でも県外」と訴え、後に辺野古に回帰させた旧民主党政権の要職に就いていなかった。しがらみがないからこそ新基地建設「中止」の公約を実現するため、対米折衝をはじめあらゆる手だてを尽くしてもらいたい。