<社説>「オミクロン株」確認 今こそ教訓を生かす時だ

 新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の感染者が11月30日に国内で初めて確認されたのに次ぎ、翌日にも2例目が確認された。

 11月29日に政府は水際対策の強化措置として全世界を対象に外国人の新規入国を禁止していた。「先進7カ国(G7)で最も厳しい水準の措置」(政府関係者)という。
 政府の新型コロナ対策を巡っては、初期対応の出遅れや医療体制の不備、変異株の脅威を見誤り緊急事態宣言の発令と解除を繰り返すなど後手後手だと批判されてきた。政府はこれらを真摯(しんし)に反省し、失敗から得た教訓を今こそ対策に生かすべきだ。
 オミクロン株の感染者は欧州やオーストラリア、香港、カナダでも見つかっており、早晩、世界に広まるとみられている。
 国内で確認された感染者はいずれも医療機関に隔離されたが、新型コロナは潜伏期間が長く、無症状のまますり抜ける可能性があるため、既に国内の市中に入っているとみる専門家もいる。
 感染力は国内流行第5波で猛威をふるったデルタ株を上回るとされ、既存ワクチンの効果は従来の変異株に対するものよりも弱いと指摘されている。
 ただ、重症化リスクがどの程度あるのかなど特性に不明な点は多い。感染力や重症化のリスクについて世界保健機関(WHO)は「まだ明らかでない」としつつ、「世界的に拡散する可能性が高い。危険性は非常に高い」と警戒を呼び掛けた。
 その中で政府が水際対策を強化したことは評価できる。問題は今後である。感染が国内で広がるのは時間の問題と言われる中、どこまで事前に対策を講じられるかが重要だ。
 まずは検査体制である。オミクロン株を確定するにはPCR検査に加えウイルスのゲノム(全遺伝情報)解析が必要である。この体制を拡充し、早期発見と封じ込めを図るべきだ。
 感染が確認された海外とも情報を共有し、ウイルスの特性把握に努めつつ、今月から始まった3回目のワクチン接種を急ぐ必要がある。従来ワクチンであっても、一定の効果が期待できるためだ。一方でオミクロン株に効くワクチン開発も課題となる。病床や医療従事者の確保など医療体制拡充も必須だ。
 沖縄では、水際対策としてこの際、来県者に出発前PCR検査を義務化すべきである。在沖米軍基地からの感染流入に備え、米軍関係者との情報共有や対策も急務だ。
 今回の変異株はワクチン接種の遅れが看過されてきたアフリカで変異が加速して広まった。国際社会がワクチンの公平配分を怠ったつけが回ってきたとの見方もできる。新型コロナの抜本的な収束を図るなら、世界各地で公平にワクチンが行き届くよう支援を加速させる必要がある。



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