<社説>22県内政局展望 選挙の年、知事選が天王山


社会
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 2022年は、沖縄の針路を決める非常に重要な年となる。7市11町村で首長選挙、30市町村で議会議員選挙が実施される統一地方選挙のほか、国政は3年に1度の参院選がある。中でも秋の県知事選は天王山だ。今年はいわゆる「選挙の年」である。

 新型コロナウイルスの感染症対策は引き続き県内、全国でも喫緊の政治課題だ。新種のオミクロン株が徐々に広がり、油断できない状況の中、備えが要る。医療従事者や病床など医療体制の確保、コロナ禍で傷ついた経済の立て直しも政治に求められる。
 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設問題も引き続き大きな政治課題だ。この問題を巡っては、軟弱地盤が見つかり改良工事が必要なため国の試算では、完成までに12年、工費は約9300億円に上ることが判明。県は国の設計変更申請を不承認とし新局面に入った。一方、10年ごとの期限切れに伴う沖縄振興特別措置法は4月から新たな仕組みとなる。
 1月の名護市長選、夏の参院選、秋の県知事選や宜野湾市長選、那覇市長選では、これら政治課題への対応に対する評価が大きな争点になる見通しだ。コロナ対策の成否も問われる。
 これらの選挙では、辺野古新基地建設に反対する勢力でつくる「オール沖縄」と、自民、公明両党協力の下に集まる勢力が事実上全面対決となる構図になりそうだ。その中で、2014年の知事選で故翁長雄志氏が当選し、玉城デニー知事が引き継いだ8年間の「オール沖縄」県政への評価が問われる。自公政権による国のかじ取りの是非も併せて投票行動の鍵を握る。
 参院選では「オール沖縄」が支持する現職の伊波洋一氏に対し、自公勢力が誰を擁立するかが注目される。同じように知事選では玉城知事が引き続き出馬する見通しの中、自公勢力が誰を対抗馬に選ぶかが当面の焦点だ。
 市部では、1月23日投開票の名護と南城の市長選を皮切りに、2月27日の石垣市長選、4月24日の沖縄市長選と続く。秋には宜野湾市長選のほか、豊見城市長選、県都・那覇の市長選も行われる。町村では、八重瀬町、読谷村、金武町、久米島町、与那原町、南風原町、南大東村、本部町、伊是名村、大宜味村、渡嘉敷村で首長選挙が実施される。30市町村では議員選挙もある。
 これらの選挙で各地の有権者は、まちづくりや暮らし、教育や福祉など多岐にわたる身近な問題について、各候補者の政策を見極めて投票先を決める必要がある。
 今年は沖縄が日本に復帰して50年の節目だ。県民所得は依然、全国の中で最低水準で、貧困問題を抱えている。米軍基地の集中は変わらず、新たに自衛隊の配備も進んでいる。50年を振り返り、50年後の沖縄をどうしたいか。投票の際には、そんな長期的な視点も問われる。