<社説>企業の女性登用調査 男性の変革こそが必要だ

 琉球新報が県内主要企業に女性登用に関するアンケートを実施したところ、回答を得た53社で管理職に占める女性の割合は20.5%にとどまり、経営の意思決定に携わる取締役には9.7%しか女性が就いていないことが分かった。採用や昇進の女性差別解消を目指した男女雇用機会均等法が施行されて35年がたつが、企業内における男性偏重が厳然と存在する。

 男女を問わず能力に応じた待遇と登用を保証することは当然だ。加えて、男性中心の企業風土の中で慣習化された長時間労働などの働き方や、「家事や育児は女性の仕事」という性別役割分担が根強い社会全体の在り方も、女性の自立を阻んでいる。
 公平で生産的な経済社会の実現に向けて、男性の変革こそが求められている。
 アンケートで、パート従業員などを含めた直接雇用の従業員数の男女比率は女性が55.4%、男性が44.6%だった。しかし、正社員になると女性の割合は37.5%に低下し、男女比率が逆転した。働く女性の多くが非正規雇用であり、採用や待遇における男性優位を示している。
 国税庁の全国調査によると、男性は年齢に従って平均給与が上がり、55~59歳で686万円となる。一方で女性の平均給与は25~29歳の328万円で止まってしまう。
 女性は結婚や出産、介護などを機に退職する例が多く、退職後は正社員での再就職も難しくなる。このため生涯にわたって収入の水準が低いままとなり、資産形成や年金受給額にまで影響が及ぶ。
 男女間の経済力の格差は所得の低さや非正規雇用率の高さ、子どもの貧困につながるひとり親世帯の困窮といった沖縄が抱える社会課題の要因でもある。コロナ禍では非正規職員解雇など経済的なしわ寄せが女性に集中している。男女間の不平等を一刻も早く是正しなくてはいけない。
 結婚や出産などライフステージの変化があっても働き続けることができ、勤続年数や昇進機会に不利益を生じさせない環境を整えることが企業にできる改革の第一歩だ。
 改革は女性のためだけではない。家庭と仕事の両立や長時間勤務の解消に取り組むことは全ての従業員の働きやすさとなり、定着率向上や継続的な人材育成につながる。在宅勤務や業務平準化を可能とするためのIT導入は、企業の生産性を高める。
 社内制度を通じて男性社員の育休取得を奨励するなど、男性の家事、育児参加を促していくことも企業に求められる社会貢献だ。
 少子高齢化に伴って国内の労働力人口は減少し、企業は消費の縮小や人材の採用難に直面している。経営に女性の視点や活力を取り込めない組織は、市場にそっぽを向かれる時代だ。県内企業には組織の革新性を測るバロメーターとして、女性の登用を率先して高めてもらいたい。



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