<社説>教委の女性登用15% ジェンダー平等 実現を


社会
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 県教育委員会事務局の管理職に占める女性の割合が15・4%にとどまっている。県教委は県内の教育行政の要とも言える。管理職の男女の偏りはジェンダー平等を目指す施策にも影響しかねない。登用促進に向けた改革が必要だ。

 全国の都道府県教委事務局の女性管理職の割合は平均で15・8%。割合が最も高い岐阜は29・9%とほぼ3割を占めるが、10%に満たない県もある。沖縄の15・4%は全国平均とほぼ同じ割合だった。
 子どもにわいせつ行為をした教員への対策法が2021年に成立した。都道府県教委は学校で発生した性暴力への対応や教員研修を担うこともある。性差を理由にした不合理な校則への対処など、ジェンダー平等は教育現場にも求められており、女性の登用促進は待ったなしの課題だ。
 静岡県教委は女子が被害に遭うことが多い性暴力の防止のため、メンバーが男性に偏らないよう留意し、教員や臨床心理士らで対策チームを構成。早期発見の必要性を確認し合い、児童生徒対象のアンケートの実施につなげた。
 同県教委は「ロールモデル」となるよう女性を積極登用し割合は全国2位。性暴力被害防止に向けた対策チームによる迅速な動きはジェンダーバランスに配慮した登用促進の効果でもあるだろう。
 女性管理職登用の割合が全国4位の鳥取、5位の青森は女性を幅広い部署で登用する取り組みを10年以上続けてきたという。管理職のジェンダー平等に向けた戦略的な人事施策が登用率に表れている。
 沖縄は15・4%でほぼ全国平均と同じ割合だ。県内の女性教員は小学校で約7割、中高で約半数を占めるとされることから考えると、県教委での女性登用は進んでいるとは言いがたい。全国で21位の位置にあるが、これに甘んじることなく、登用を促進する必要がある。担当課ごとの登用率はどうなっているのか、女性の起用を阻んでいる要因は何なのか、現状の分析を進め、施策に反映してもらいたい。
 県内主要企業への本紙アンケートでも管理職に占める女性の割合は20・5%にとどまった。沖縄大の成定洋子教授は管理職に女性が少ない理由を女性だけに求めるのではなく、職場や社会でどのようなジェンダー関係がつくられているのかを見る必要があると指摘する。学校管理職は男性というジェンダー規範があるとすれば、これに基づく組織構造ではジェンダー平等の時代の要請に合わせた柔軟な対応は難しい。
 都道府県教委の管理職は出世コースとされ、いずれ学校現場に戻り校長などに就く。管理職試験に挑戦しづらいなど女性が力を発揮できる仕組みになっていないとの指摘もある。学校現場に女性の管理職を増やすためにも、職場の環境を改める必要がある。働き方改革の観点から言えば、性差に関係なく、長時間労働を見直す契機にもすべきだ。