<社説>コロナ対策強化 医療体制立て直し急げ

 岸田文雄首相は、新型コロナウイルス「オミクロン株」感染の急拡大を踏まえ、ワクチンの3回目接種の前倒しなど対応強化策を発表した。

 県内では感染などによる医療従事者の欠勤は21の重点医療機関で計628人(12日発表)に上る。実効性のある対策にするためには医療体制の立て直しが急務だ。
 沖縄県の感染者50人の分析では、72%で発熱、58%でせき、50%で全身のだるさといった症状が出ているという。英国の保健当局は、入院リスクはデルタ株の3分の1と報告した。世界保健機関(WHO)の担当者は、喉など上気道の炎症を起こすものの、深刻な肺炎になりにくい可能性があると指摘している。
 しかし、楽観はできない。高齢者や基礎疾患がある人に感染が広がれば重症化する人が増える恐れがあるからだ。
 岸田首相は11日の会見でこれまで対象外だった12歳未満の子どもへのワクチン接種を早期に始めると表明した。3回目接種は高齢者に加え一般分も前倒しする。追加接種を急ぎたい。
 問題は、検査体制が限界に近いことだ。早期治療には早期検査が欠かせない。感染動向を分析する県疫学統計・解析委員会は、県内の1日の検査能力は2万6千件で、陽性率が10%であったとしても「1週間に2万人弱の(陽性)診断が限界」と指摘する。検査体制の拡充が急務だ。
 さらに問題なのは、治療薬服用の対象者は18歳以上の重症化リスクなどがある患者で、発症から5日以内に飲み始めるとの条件が付く。服用条件が厳しい上に供給量も限られている。検査で感染が判明した時点で薬を配分できる体制整備が必要だ。
 加えて県内では医療従事者の感染で治療に支障が生じている。12日の県の発表によると、医療従事者の欠勤は医師が50人(陽性9人)、看護師352人(同112人)、コメディカル226人(同59人)。医療提供体制が逼迫(ひっぱく)している。
 一方、コロナ対策の時短要請に応じた飲食店に支払う協力金について政府は、十分な感染対策を行った「認証店」への支給額を「非認証店」と同水準にできるよう運用を見直す。認証店が非認証店と同じ営業内容にすれば、3万~10万円を支払う。午後9時までの営業なら、従来通りの金額を支払う。
 認証店よりも非認証店の方が支給水準が高いとして、沖縄県が改善を求めていた。政策に不公平感があってはならず、基準の見直しは当然だ。認証店にメリットがある内容にしていなかった制度設計に問題があったといえる。
 ただ、飲食店に営業時間短縮を要請し協力金を払う政策を続ければ、国や自治体の財政負担は膨らみ、経済活動にも影響が出る。従来通りの規制だけではなく、感染拡大を防ぎつつ、経済活動も極力止めないようにする手立ても示してもらいたい。



関連するニュース








  • お知らせ


  • 琉球新報デジタルサービス



  • 会員制サービス






  • 他のサービス