<社説>5~11歳にワクチン リスクと意義、国が説明を

 新型コロナウイルスの変異株でも特に感染力が強いとされるオミクロン株の流行を受け、厚生労働省が5~11歳の子どもに接種するワクチンを特例承認した。

 早ければ3月に接種が始まる見通しだ。だが専門家の間でも子どもへの積極的なワクチン接種は意見が分かれる。副反応など保護者の不安も残されたままだ。副反応をはじめとするリスクと、重症化を防ぐメリットを政府は説明する責任がある。拙速な接種推奨でなく、まずは保護者の理解を得る方策を探るべきだ。
 接種するワクチンは米ファイザー製だ。米国内では昨年11月から子どもへの接種が始まっている。ファイザーは12歳以上に接種する3分の1の量で同等の抗体ができ、発症を9割抑えられるとしている。一方で若い世代ではまれに心臓の炎症が報告されているという。
 米疾病対策センターは「子どもの死亡も後遺症も起きている。緊急性はある」と主張し、リスクを超える利益があると認めている。
 日本小児科学会によると、大人が肺炎の悪化により重症化するのと異なり、子どもの場合は下痢や発熱があり、心臓の動きが悪くなる症例が外国で報告されたという。
 国内ではそうした症例は少ないが、持病がある子どもであれば、重症化を避けるためにワクチンは有用である。
 現時点で子どもは感染しても軽症が多いが、感染者が爆発的に増えれば当然重症化する子どもも出るだろう。同学会は接種中や前後のきめ細かな対応が必要とした上で「(接種に)意義はある」とする提言を公表している。
 一方で県内の内科医や保護者でつくる団体は「リスクを上回るメリットがない」と主張し、子どもへのワクチン接種を停止するよう県に要望した。県内外から約4400人の賛同署名があった。
 持病のない子どもとその保護者にとっては、予想しない副反応などのリスクはあっても、どのようなメリットがあるのか分かりにくい。
 ワクチンが中長期的にどのような影響を体に与えるのか、家庭で話し合える情報が不足しているのは確かだ。
 国立成育医療研究センターが、昨年9月にインターネットで実施したアンケートで小学生の55%は接種を希望するが、38%は受けたくないと回答したという。子どもの意思を尊重するにせよ、重要な判断を任せるのは大人として無責任だ。まずは保護者が子どもにワクチンを接種する意義とそれに伴うリスクを説明できる環境がなければ子どもへの接種自体が成り立たない。
 同時に用量を厳守し、規定以上の量を子どもに誤接種しないよう細心の注意も求められる。政府は3月にも子どもへの接種を始めるというが、わずかな期間でどこまで環境整備できるか。接種ありきでなく子どもにとって最善の手法を模索する必要がある。




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