<社説>「核共有」反発拡大 核リスク軽減こそ責務だ

 なぜ今、非核三原則の国是見直しにつながる議論をする必要があるのか。

 米国の核兵器を日本に配備し、共同運用する核共有政策を議論すべきだとの一部与野党からの声に対し、「ロシアによるウクライナ侵攻に乗じており、断じて許せない」と被爆者が猛反発している。被爆者の批判は当然である。
 ウクライナを軍事侵攻したロシア軍は、原発の一部を制圧した。軍事施設以外を攻撃して子どもや女性、お年寄りが犠牲になっている。ロシアのプーチン大統領は核使用カードをちらつかせている。
 被爆国日本に求められているのは、核リスクを減らす外交努力である。国際社会と共に核兵器の使用と軍事侵攻を断念させる手立てを尽くさなければならない。
 緊迫するウクライナ情勢を巡り安倍晋三元首相は2月27日、テレビ番組で核共有の議論を提起した。仮に日本が核共有政策を採用すれば、被爆国として歴代政権が国是としてきた非核三原則に反する。核兵器保有を米ロなど5カ国に限る核拡散防止条約(NPT)に反し、核兵器禁止条約を否定する行為でもある。
 安倍氏の発言を受けて高市早苗自民政調会長は、非核三原則のうち核兵器を「持ち込ませず」の原則に関して、有事の際に例外を認めるべきだとの考えを示した。日本維新の会も議論開始を含む提言を外務省に提出した。
 岸田文雄首相は7日の参院予算委員会で、非核三原則に関し極限状態では必ずしも縛られないとの認識を示した。
 有事は日本ではなく、ウクライナで起きている。プーチン氏の強硬姿勢によって、核使用のリスクが確実に増大している。ウクライナの原子力規制当局は6日、核物質を扱う「物理技術研究所」が同日、ロシアの攻撃を受け、複数の施設が破壊されたり損傷したりしたと発表、「新たな核テロ」だとロシアを批判した。
 人類の危機をいかにして回避するのか、それが憲法9条を掲げる日本が、国際社会に果たす責務であろう。
 安倍氏がすべきは、核共有の議論を始めるのではなく、軍事侵攻の断念をプーチン氏に働き掛けることではないか。第2次安倍政権は対ロ融和外交を進めた。ウクライナ南部クリミアの強制編入を理由に制裁を実施した2014年以降も、当時の安倍首相はプーチン氏と会談を重ね、姿勢を硬化させる欧米と一線を画して首脳間の「蜜月関係」をアピールした経緯がある。
 ウクライナ侵攻を名目に、憲法の平和主義に基づき抑制的にとどめてきた国際紛争への関与が変わろうとしている。政府は自衛隊が保有する物資を提供する方針を決定した。海外への防衛装備輸出のルールを定めた「防衛装備移転三原則」に抵触しかねない。
 沖縄戦の教訓は「軍隊は住民を守らない」である。今、日本にできることは何か。冷静に考え行動したい。



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