<社説>夫婦別姓最高裁判決 選択制の法整備が必要だ

 夫婦別姓を認めない民法や戸籍法の規定は違憲だとして、東京都と広島県の事実婚の男女7人が国に損害賠償を求めた2件の訴訟で、最高裁は22日付で、原告側の上告を退ける決定をした。

 結婚の自由が保障されない現実を、権利救済を使命とする司法が放置するのは納得できない。だが、裁判官5人のうち2人が規定を「違憲」と判断したことは重い。夫婦別姓も選択できる社会に向け、法改正による制度整備を急がなければならない。
 民法750条は「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」として夫婦同姓を規定する。互いに改姓を望まない場合は、一方が我慢して改姓を受け入れるか、法律婚を諦めて事実婚を選ぶしかない。
 裁判所はこれまでの判決で、旧姓を通称使用することで、婚姻による改姓の不利益を一定程度緩和できるという見解を示してきた。だが、通称で通用しない手続きも多く、二つの姓の使用を使い分けることは煩雑だ。何より氏名は個人を表す象徴であり、改姓は個人の識別機能の低下やアイデンティティーの喪失につながる重大な変更だ。
 事実婚を選ぶ場合は、子どもの共同親権設定やパートナーが亡くなった場合の相続権など、法律婚であれば得られる権利が得られない問題がある。夫婦同姓を強いる現状は憲法が保障する婚姻の自由や法の下の平等、男女の平等といった平等権に反する。
 訴訟の原告は夫婦別姓での法律婚を希望して婚姻届を提出したが、受理されなかった。一、二審は、結婚する際に夫婦どちらかの姓を選べることから、憲法が禁止する差別には当たらないとして請求を棄却。今回の最高裁の判決で、一、二審の判決が確定した。しかし、社会の変化や夫婦同姓の不利益を軽視した内容と言わざるを得ない。
 一方で、弁護士出身の渡辺恵理子裁判官は「民法と戸籍法の規定は、姓を変更するか法律婚を断念するかの二者択一を迫るもので、婚姻の自由を制約するのは明らかだ」と違憲の意見を付け、「夫婦別姓の選択の機会を与えることこそ個人の尊厳の尊重だ」と指摘した。
 法制審議会は1996年に選択的夫婦別姓制度の導入を答申したが、法案提出には至らなかった。家制度など伝統的家族観を重視する自民党など保守派に抵抗が強いことが、立法の場での議論を停滞させてきた。
 最高裁判決で意見を付けた渡辺氏は、内閣府の2018年世論調査で選択的夫婦別姓制度を容認する人が42.5%に達し、これから結婚する世代の30代以下は半数超だったことを挙げ「家族制度の維持という名の下で若い世代の将来の足かせとならないようにすべきだ」と訴えた。
 時代の要請や多様化する価値観に合わせた柔軟な法制度が求められている。




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