<社説>細田氏不信任案否決 説明ないなら議員辞職を


社会
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 立憲民主党が9日に提出した細田博之衆院議長(自民)の不信任案は、与党の自民、公明が反対したため否決された。共産と社民は賛成し、維新と国民は退席した。

 不信任案は、細田氏が女性記者にセクハラ発言をしたとする週刊文春の報道に触れ「品位に欠けた者が三権の長の座についている」と指摘。月100万円未満の手取りの議員を多少増やしても罰は当たらないとの発言にも「歳費の原資が血税だという事実を理解していない」と批判した。
 細田氏は週刊文春を発行する文芸春秋に「全くの事実無根」と抗議文を送ったが、記者会見を開き「無根」を証明するなどの説明責任を果たしていない。疑惑を払しょくできないのなら、衆院議長はおろか政治家の資質を欠くと言わざるを得ない。疑惑が事実なら速やかに議長職だけでなく議員辞職すべきだ。
 週刊文春によると、細田氏は複数の女性記者に「今から家に来ないか」と深夜に電話するなどの発言を繰り返した。今月9日発売の同誌には、先月の報道を見た細田氏が女性記者たちの携帯電話を鳴らし「事実無根だ」などと文句を続け「誰も実名で話さないだろ」と、圧力ともとれる発言があったと報じられている。
 週刊文春は事実関係について細田氏の事務所に質問状を送っても一切応じていないという。細田氏は報道に対し「強く抗議する。弁護団と協議し、訴訟も視野に入れ検討したい」とするコメントを発表したが、週刊文春編集部は「多数の当事者の証言や証拠に基づくもので、じゅうぶん自信を持っている」とのコメントを発表。細田氏に対し「自らの言動を検証し、真摯(しんし)に説明されることを期待している」と訴えた。
 他にも細田氏は問題発言を繰り返している。先月、自民党議員パーティーの場で衆院選「1票の格差」是正を巡り「月100万円未満の手取りの議員を多少増やしたって罰は当たらない」と発言。10増10減の作業が進む中で国会議員の定数増を提起した形だ。「議長になっても毎月もらう歳費は100万円しかない」とも述べた。この発言に「市民感覚から外れすぎ」との批判が相次いでいる。
 また昨年の衆院選地元島根1区で細田氏の陣営が島根県内の地方議員らに労務費名目で公示日以降に1日当たり数千円の現金を支払っていたことが明らかになった。買収疑惑が報じられている。細田氏が代表を務める自民党島根1区支部に別の同党支部から計36万円の寄付があったのに政治資金収支報告書に未記載だったことも判明している。
 これらについても説明を求めたい。不信任案が出されても説明しない姿勢は、国民の代表である国会を冒とくしていると批判されても仕方がない。高い倫理観や公職の模範が期待される国会議員としての資格を欠く。説明できないのなら議員辞職すべきだ。