<社説>自衛隊PFAS問題 公表と土壌調査が急務だ

 全国各地の自衛隊施設の消火用水槽に、高い値で有機フッ素化合物(PFAS)が含まれていることが分かった。防衛省の調査で判明したが、同省は調査結果をいまだに公表していない。

 那覇市の海上自衛隊那覇航空基地では、国の暫定指針値(PFOS・PFOAの合計で1リットル当たり50ナノグラム)の最大約7万倍という高濃度で検出されたという。防衛省は一刻も早く調査結果を公表すべきだ。汚染水の入れ替えとともに、汚染が施設周辺の広範囲に広がっていないか民間地を含めた土壌の調査が急務だ。
 防衛省は、全国約60の自衛隊施設で消火用水槽を調べた。琉球新報の関係者への取材によると、調査したうち8割弱で、PFASの一種であるPFOSとPFOAの検出量が国の暫定指針値を超える結果となっていた。
 泡消火剤は航空機など火力が強い火災が発生した場合に使用し、消火薬剤の原液を真水で薄めて泡を立て噴射する。防衛省が今回調べたのは消火剤の容器ではなく、消火剤と混ぜる前の水をためていた水槽だ。汚染を想定していない設備から、高濃度のPFASが検出された。徹底した原因の究明はもとより、地元住民をはじめ国民に迅速に情報を開示する必要がある。
 県内でも複数施設で高濃度のPFASが検出されているという。海自那覇航空基地で4槽のうち一つが国指針の最大約7万倍に上ったほか、空自那覇基地では全17槽で国指針を超え、最大約3万倍の値が検出された。
 全国調査のきっかけとなったのも、2021年2月に空自那覇基地で起きた泡消火剤の飛散事故だった。
 空自は当初、消火薬剤を非PFAS製品に切り替えていたことから、民間地まで飛散した泡消火剤に「PFOSは含有していない」と説明していた。だが、琉球新報が採取した泡を専門家に依頼して分析したところ、PFOSが検出された。空自が那覇基地の消火設備を調べると、水槽が汚染されていたことが明らかになった。
 PFASは発がん性などのリスクが指摘される上、環境中ではほとんど分解されず、長期的な汚染を及ぼす可能性も指摘されている。
 空自那覇基地が飛散事故から1年後の今年1月に実施した基地内水路の水質調査でも、PFASの値が国指針値を上回っていた。京都大の原田浩二准教授は「過去に泡消火剤を使ってきた結果、土壌が汚染され、水路に少しずつ染み出しているということが考えられる」と指摘した。
 県内では米軍基地が原因とみられる河川や湧き水のPFAS汚染が生じ、周辺住民の健康不安をもたらしている。基地が集中するがゆえの沖縄の環境被害は深刻だ。米軍基地、自衛隊基地の使用状況について透明性を高め、住民の健康や飲み水の安全を確保しなければならない。



関連するニュース







  • お知らせ


  • 琉球新報デジタルサービス



  • 会員制サービス






  • 他のサービス