<社説>女性の政治参画 ジェンダー平等 不可欠だ


社会
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 22日に公示された参院選では過去最多となる181人の女性が立候補し、全候補者に占める女性の割合は過去最高の33・2%に達した。しかし、「均等」にはなお遠い。

 国会をはじめ地方議会など政治の意思決定の場にジェンダーの視点が必要だ。
 衆院が全衆院議員465人(男性419人、女性46人)を対象としたジェンダー格差に関する独自アンケートによると、国会議員に占める女性の数について「不十分」「どちらかといえば不十分」が計82・7%を占めた。
 「不十分」と答えたのは女性議員の84・6%。これに対し男性は56・7%で、半分近くが「不十分」を選ばなかった。男女間の認識の差は27・9ポイントも開いている。
 昨年10月末に行われた衆院選で、当選者に占める女性の割合は前回2017年の10・1%から9・7%に下がり、再び1割を割り込んだ。
 世界経済フォーラムが発表した2021年の男女格差報告(ジェンダー・ギャップ指数)で、日本の政治分野は156カ国中147位。女性議員の少なさはかねて指摘されている。
 フィンランドは、2000年に女性初のハロネン大統領が誕生。19年には当時現職首相として世界最年少のマリン首相が34歳で就任した。現在、首相を含む内閣の半分以上を女性が占める。
 ではどうすれば女性の比率を高められるのか。フランスの例が参考になるかもしれない。1990年代、フランス国民議会(下院)の女性議員の割合は10%程度で、欧州連合(EU)の中で最下位レベルだったという。改善するため99年、憲法に「選挙で選ぶ議員職と公職への男女の平等なアクセスを促進する」との条文が追加された。2000年には選挙の候補者を男女同数にするよう求めた「パリテ法」が成立した。
 パリテ法をきっかけに過去20年間で4倍近くまで国民議会の女性議員比率を高めてきた。パリテとは同量、同数という意味のフランス語。首相の直属機関である「女男平等高等評議会」は、パリテを「権力を、政治から経済に至るまで男女間で分かち合うこと」と定義している。
 パリテ法によって政党に候補者の男女同数を義務付け、従わない場合は男女比の偏りに応じて政党助成金を削減する。段階的にこの法律を強化し、徐々に女性議員を増やしてきた。この仕組みを参考にしてもいいのではないか。
 名実ともにジェンダーギャップをなくすには意識改革も必要だ。今年5月には日本維新の会の参院議員が、参院選挙区に維新から立候補予定の新人女性について「顔で選んでくれれば一番を取る」などと発言。「女性軽視」「外見差別」と批判され「軽率だった」と発言を撤回した。そもそも選挙は、政策で判断されるべきで、女性軽視は論外である。