<社説>臨時国会閉幕 政権は論戦から逃げるな

 7月の参院選を受けた第209臨時国会が3日に召集されたが、わずか3日間の会期できょう閉幕する。過去最大の感染となる新型コロナウイルス対策や国民生活を直撃する物価高など、対応が急務の難題が山積している。議論を先送りする猶予はなく、国会を閉じるべきではない。

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治の関わりの究明を巡っても、自民党は国会論戦から逃げているようにしかみえない。岸田文雄首相は国会での議論を通じ、国民への説明を果たすべきだ。
 自民党は当初、安倍晋三元首相に対する追悼演説を今臨時国会で予定していたが、甘利明前幹事長が演説する人選に与野党で異論が噴出し、今回の実施を見送った。
 首相経験者への追悼演説は、党派を超えた弔意を示すため野党の党首クラスが担ってきた。安倍氏の盟友の一人である甘利氏の人選は、国会の慣例に反する特別扱いというだけではない。甘利氏は道路工事の補償を巡る現金授受問題が追及されている。国会議員を代表して登壇することに疑義が出るのは当然だ。
 安倍氏の弔いを巡っては、国葬実施の判断についても岸田首相の説明不足や国会軽視が際立っている。国葬には根拠法も定義もない。安倍氏に国葬に値する功績があるのかという国会の議論も経ずに、閣議だけで決定した。
 共同通信社の全国電話世論調査では、安倍氏の国葬に「反対」「どちらかといえば反対」が計53・3%に上った。国民の過半数が反対する国葬に、このまま国費を投じることは許されない。自民は必要に応じて閉会中審査を開くとするが、まずは閣議決定を撤回し、国会で合意を得る手続きを踏むのが筋だ。
 安倍氏の銃撃事件の容疑者の供述を皮切りに、かつて霊感商法で社会問題を起こした旧統一教会と自民党議員らとのつながりも次々表面化した。安倍氏の実弟の岸信夫防衛相が教団ボランティアからの選挙支援を認めるなど、岸田政権の閣僚と教団との接点が認められる。
 安倍政権以来の実態や、国の政策にも影響が及んでいなかったかなど、国民の多くが教団との関係に疑念を抱いている。その中で自民党の福田達夫総務会長は「何が問題かよく分からない」と発言した。疑惑に自ら答える姿勢がない以上、徹底して検証する役割が国会に求められる。
 参院選は自民党が大勝し、「改憲勢力」が衆参両院で3分の2を維持した。参院議長に選出された自民の尾辻秀久氏は、国会の憲法改正論議について「大いに盛り上げて議論していただきたい」と語った。だが、自党に都合の悪い問題は先送りし、数の力を背景に改憲手続きばかりを急ぐ態度は通用しない。
 国民に十分な説明なく党内事情で物事を進める対応は、国会を軽視した政権党のおごりと言わざるを得ない。



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