<社説>広島原爆投下77年 改めて非戦・核廃絶誓う

 広島への原爆投下から77年となった。77年前のきょう広島で、9日に長崎で、人類にとって初めての核兵器による無差別大量虐殺が行われた。現在、ロシアのウクライナ侵攻で「冷戦時代以降、核兵器が使用されるリスクが最も高まった」と言われ、台湾を巡る情勢も緊迫化する中で迎える原爆の日である。今こそ、非戦の誓いと、核兵器廃絶を目指す決意を新たにしなければならない。

 6月に核兵器禁止条約の第1回締約国会議が開かれ、現在は核拡散防止条約(NPT)再検討会議のさなかである。また、国連事務総長として12年ぶりにグテレス氏が広島市の平和記念式典に出席する。「世界は広島と長崎の惨事を教訓としなければならない」と述べるグテレス氏の訪問で、広島、長崎に改めて世界の目が注がれ、被爆者の願いが世界で共有されることを期待したい。
 NPT再検討会議では、広島選出の岸田文雄首相が演説し、5本柱からなる行動計画を発表した。核軍縮の進展を首相の「レガシー(政治的遺産)」とするためだと報じられている。行動計画の五つ目に盛り込んだ「国際賢人会議」を11月に広島で開催し、来年5月に自身が議長を務める「広島サミット」で核軍縮に向けた成果を世界に打ち出すという青写真だ。
 レガシーを目指すのは結構だが、問題は中身だ。国連に基金を設立することと賢人会議以外に新味はない。「核兵器不使用の継続の重要性を共有」とか「核兵器数の減少傾向を維持する」など、ほぼ現状維持にとどまる。NPTは核軍縮の努力も定めているが、努力といえるレベルの提案には見えない。最終文書が採択されること自体が目的になっており、核保有国が受け入れられるものにするよう腐心したとしか思えない。
 ただ、演説後に核兵器禁止条約に触れなかったことを問われた首相は「核なき世界を目指す上で出口に当たる重要な条約だ」と禁止条約の意義を評価している。そして「理想に向けて現実的な取り組みを示すことが大事」と強調した。そうなら、核兵器禁止条約を目指すべき「理想」とする姿勢を明確にすべきなのではないか。
 行動計画では、「減少傾向を維持」ではなく「削減する」とすべきであり、CTBT(包括的核実験禁止条約)についても「発効を促進する機運を醸成」ではなく「早期発効を目指す」とするべきではないか。きょう広島で、一歩前進したメッセージを発信するよう求める。
 核兵器を使わせないためには核兵器をなくすのが一番だ。それが被爆者の願いであり、被爆者らの長年の努力が核兵器禁止条約へと結実した。戦争の惨禍を二度と繰り返してはならないという思いは被爆者と沖縄戦の体験者は同じだ。広島・長崎と沖縄戦の教訓を確認したい。



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