<社説>米空軍オスプレイ停止 普天間のMV22は撤去を


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 米空軍がクラッチの不具合に伴う事故を理由に、全ての垂直離着陸輸送機CV22オスプレイの飛行を停止した。

 米軍は普天間飛行場に海兵隊仕様のMV22を24機配備している。海兵隊はMV22も同様の問題を抱えていることを認識しながら、CV22の飛行停止後も運用を続けている。
 クラッチの不具合から最悪の事態に陥る可能性もあるだろう。直ちに普天間を含む全てのMV22の飛行を停止し、空軍と情報を共有しながら原因の究明を急ぐよう求める。同時に、さまざまな欠陥が指摘されるMV22の撤去を強く求める。
 オスプレイは回転翼ヘリコプターと固定翼航空機の機能を備える。米空軍などによると、CV22のエンジンとプロペラのローターをつなぐクラッチが何らかの原因でかみ合わなくなる不具合が2017年以降に4件起き、うち2件がこの6週間以内に起きた。
 空軍側はクラッチに不具合が生じた場合、機体を制御できず事故を招く恐れがあると説明している。
 県内では12年10月に海兵隊仕様のMV22の普天間配備が強行された。県内配備の当初から構造上の欠陥が問題となってきた。例えばヘリコプターと比べ、エンジンが停止した場合にローターで気流を受けて軟着陸する「オートローテーション(自動回転)機能」が欠けていることなどが指摘されている。
 CV22とMV22の基本構造は同じだ。本紙の取材に対して、海兵隊は10年からMV22にもクラッチの不具合があることを把握していることを明らかにした。重要情報を隠蔽(いんぺい)したまま沖縄に配備したことは、県民の命を軽視していることにほかならない。
 海兵隊は「適切に対応するようパイロットを訓練している」と説明。「根本的な問題に取り組んでいる」とした上で、大きな事故なく飛行実績を積んでいるとして安全性を強調し、MV22の運用を続けている。
 この説明を鵜呑みにできない。県内では16年に名護市安部の沿岸に墜落した。普天間所属機は17年にオーストラリア沖で墜落している。このほか今年3月にノルウェーで、6月には米カリフォルニア州で墜落事故を起こし、計9人の搭乗員が死亡した。
 昨年8月の普天間所属のMV22の部品落下事故の米軍報告書は、設計上の問題やオスプレイ共有の課題であることを示唆している。機体の欠陥を認めているのだ。
 日本国内では陸上自衛隊がオスプレイを運用している。陸自が導入しているのはV22と呼ばれる機種で、南西諸島で有事となった際、離島防衛専門部隊を送り込む役割を想定している。陸自仕様のV22もCV同様に運用停止して点検すべきだろう。
 欠陥を隠して強行配備し、事故を過小評価して居座る。これ以上、沖縄上空で欠陥機を飛ばさせてはならない。