<社説>五輪汚職 元理事再逮捕 「五輪マネー」全容解明を

 東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で、受託収賄の疑いで大会組織委員会の元理事高橋治之容疑者が再逮捕された。

 一体、五輪を巡る闇はどこまで広がるのだろう。このような問題が起きる背景として開催までに膨大なお金がかかり、ほとんどが大会の運営や放映、出資する人々の手に渡ると言われてきた。この際、「五輪マネー」の全容を徹底的に解明してもらいたい。
 高橋容疑者は、大会スポンサーの紳士服大手AOKIホールディングス(HD)から計5100万円の賄賂を受領したとして、受託収賄の疑いで逮捕された。今回はスポンサー企業の選定で、出版大手KADOKAWAから約7600万円の賄賂を受け取った疑いがもたれている。高橋容疑者が受領したとされる賄賂は計約1億2700万円となった。
 高橋容疑者側には、広告会社大広(大阪)からも賄賂の可能性がある1千万円超が渡っており、贈賄疑惑は3ルート浮上している。
 事実とすれば、政財界に幅広い人脈を持つ高橋容疑者が、理事の立場を利用してスポンサー選びに影響力を行使し、不正を重ねたことになる。
 これとは別にAOKIホールディングス(HD)側が、高橋容疑者を介し、大会組織委員会の会長を務めていた森喜朗元首相に現金を渡したとみられるという。組織委の役員は「みなし公務員」で、職務に関し賄賂を受け取れば汚職の罪に問われる。
 高橋容疑者は広告大手電通の元専務で、スポンサーの選定などは事実上、電通からの出向者が多数在籍した組織委マーケティング局が担っていた。特定の企業に絶大な権限持たせていること自体が、不正を招く温床になるのではないか。
 東京五輪・パラリンピック組織委員会は昨年12月、大会の開催経費が総額1兆4530億円になる見通しと発表した。招致段階の2013年に国際オリンピック委員会(IOC)に提出した「立候補ファイル」で、開催経費は7340億円と記載されており、2倍近い規模に膨らんだ。
 12年ロンドン大会も当初の見込みから3倍近い2兆1千億円に膨らんでおり、巨大イベントの経費は不透明という印象を残した。なぜこれほど経費が膨らんだのか。巨費投入の説明がなく、その効果が疑われる中で、不正が行われた。組織委は情報を開示する必要がある。
 そもそも新型コロナの緊急事態宣言が発令されている中での五輪開催に本紙は疑問を呈した。ふたを開けてみれば、「平和の祭典」とはほど遠い利権構造が明らかになった。
 30年には札幌市が冬季五輪の招致を目指す。しかし、今回のように不正の温床となっている「五輪マネー」の全容解明なくして、大会を招致することに国民の理解を得られないだろう。



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