<社説>きょう知事・地方選 未来切り開く大事な選択


社会
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 任期満了に伴う県知事選が11日、投開票される。宜野湾市長選など4市町村長選、24市町村議員選挙の統一地方選、那覇市・南部離島区の県議補選も一斉に投開票される。

 知事選には、新人で前衆院議員の下地幹郎氏、新人で前宜野湾市長の佐喜真淳氏、現職の玉城デニー氏が立候補し、激しい選挙戦を繰り広げた。
 3候補者は17日間の選挙戦で、基地問題や経済振興など沖縄が抱える問題や課題をどう解決するか、政策を示し舌戦を展開した。知事選は県民の暮らしの行方を決める重要な選挙だ。有権者は3者の政策を熟考し、ぜひ投票所に足を運んで沖縄の未来を切り開く大事な1票を投じてほしい。
 今回の知事選は新型コロナウイルス拡大による観光業の落ち込みや物価高など厳しい経済情勢の中で実施される。経済の立て直しは急務だ。
 台湾有事を想定した日米の合同演習や中国軍の動きなどが活発化し、緊張の高まりが懸念される状況もある。米軍や自衛隊の基地を多く抱える沖縄にとって死活問題だ。
 こうした情勢の中で選ばれる知事の責務は大きい。有権者はそれらも踏まえて投票する候補者を選んでほしい。
 選挙戦では基地や経済の問題が大きな争点となった。米軍普天間飛行場の返還に伴う名護市辺野古の新基地建設については三者三様だ。7月の参院選に続き新基地建設是非の民意が再び示される。
 下地氏は訓練を鹿児島県の馬毛島に移しオスプレイなどは既に埋め立てられた区域に収めるとする。佐喜真氏は辺野古移設を容認するが、2030年までの普天間返還を掲げる。玉城氏は新基地建設に反対し普天間の県外・国外移設を求めている。
 経済活性化の手法も3者で異なる。
 下地氏は土地用途の見直しや開発許可の審査期間縮小など大胆な規制緩和で開発と投資を促進し、税収・雇用の拡大を図ると強調した。社会資本整備に民間資金を活用するPFI方式の導入、県内企業最優先など積極的な民間活用を公約に掲げる。
 佐喜真氏は、コロナ禍の影響が深刻な観光関連産業を中心に1千億円規模の支援を公約したほか、沖縄関係予算の3500億円以上への引き上げにも言及。脱炭素化、エコビジネス、健康医療の分野で、官民連携により新産業を創出すると打ち出す。
 玉城氏は、首里城焼失や豚熱など多くの困難に直面したが、既にコロナの収束後を見据え、沖縄観光の再生や企業の「稼ぐ力」を強化する取り組みを進めてきたと強調。沖縄のソフトパワーの活用やSDGsの推進による戦略的な産業振興を掲げる。
 統一地方選では、住民生活に直結する自治体サービスの在り方などが問われる。知事・地方選のいずれも有権者は、どの候補を選ぶか十分検討し、沖縄や地域への思いを1票に託してほしい。