<社説>広がる五輪汚職 組織の抜本的見直しを

 東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件への捜査が広がりを見せている。

 事件は、贈賄容疑で出版大手KADOKAWAの経営トップ角川歴彦(つぐひこ)氏が逮捕される異例の展開だ。大会組織委員会の会長を務めた森喜朗元首相や、日本オリンピック委員会(JOC)前会長で大会組織委副会長を務めた竹田恒和氏も任意で事情聴取される事態となっている。
 捜査の手はどこまで伸びるか。東京地検特捜部はこの際、徹底的に捜査し、五輪利権の全容を解明してほしい。札幌市は2030年冬季五輪の招致を目指す。五輪関係者は今回の問題を踏まえ、今後の組織の在り方を抜本的に見直してほしい。意思決定の過程や金の流れを透明化し、チェック体制を築くことに全力を尽くすべきだ。
 東京地検特捜部が角川氏を逮捕したのは、大会スポンサーの選定で有利な取り計らいを受けた謝礼などとして、大会組織委元理事高橋治之容疑者に約6900万円の賄賂を提供したとする贈賄の疑いがあるからだ。特捜部は先に同社顧問の元専務ら2人を逮捕しており、当初からターゲットに見据えていたとみられる。大会スポンサーの選定を巡る別ルートの疑惑も捜査しており、選定の仕組みそのものが問われる。
 オーナー企業のトップが高橋容疑者側と密室で契約を進めたのは、贈賄罪で前会長の青木拡憲被告ら3人が起訴されたAOKIホールディングス(HD)ルートでも同様だった。今回の東京五輪は五輪史上最多のスポンサー料3700億円超が集まった。裏では、高橋容疑者がこうした企業に目を付けていたと見る向きもある。
 高橋容疑者側には、広告会社大広(大阪)からも賄賂の可能性がある1千万円超が渡っており、贈賄疑惑は3ルート浮上している。これとは別にHD側が、高橋容疑者を介し、森元首相に現金を渡したとみられている。
 組織委役員は「みなし公務員」で、職務に関し賄賂を受け取れば汚職の罪に問われる。多額の金の授受を不正に密室で進めていたなら、汚職を犯した当事者だけの問題にとどまらない。それを防げなかった組織としても問題である。
 このような利権を生み出す背景には膨大な五輪経費がある。そのほとんどが選手たちに使われず、大会の運営や放映、出資する人々の手に入ると指摘されてきた。昨年12月に大会組織委が発表した経費見通しは総額1兆4530億円で、13年の招致段階の約2倍に上る。
 今回の五輪は、経費の膨らみや使い方をチェックできていたのだろうか。大会組織委は6月に解散したが、会長を務めた森氏をはじめ組織幹部は事態を招いた責任がある。捜査に全面的に協力するだけではなく、自らうみを出すつもりで問題を洗いざらい明らかにし教訓を示してほしい。



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