<社説>日朝平壌宣言20年 対話再開へ具体的行動を

 日朝平壌宣言から20年が過ぎた。日朝関係は冷え切っている。松野博一官房長官が「宣言に基づき不幸な過去を清算して国交正常化を目指す方針に変わりない」と述べた。宣言尊重の姿勢を示すことは当然だが、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)側は、日本が「宣言を白紙状態にした」と非難している。不信を解くのは簡単ではない。対話再開のために具体的な行動が必要だ。

 宣言は2002年、小泉純一郎首相(当時)が北朝鮮を訪問し、金正日総書記と首脳会談を行い署名した。国交正常化に向けて交渉を再開、植民地支配への「痛切な反省と心からのおわび」を表明し、日本が経済協力を提供、日本人拉致は明記せず「日本国民の生命と安全にかかわる懸案事項」と表現し、北朝鮮が再発防止への「適切な措置」を約束―という内容だった。
 首脳会談の結果、拉致被害者5人が帰国したことで、以後、拉致問題が焦点となってきた。沖縄では、日朝交渉によって朝鮮半島が脱冷戦化に向かえば米軍の沖縄駐留体制に大きく影響を与えるとして、交渉の進展に熱い視線が注がれた。
 03年に始まった北朝鮮、韓国、日本、中国、米国、ロシアの6カ国で北朝鮮の核問題を外交的に解決しようという6カ国協議も、関係国の対話で着地点を見いだそうとする試みとして注目された。
 しかし、日朝協議は、日本が拉致問題の解決を前提とする中、相互不信が募り、16年の北朝鮮の核実験に対して日本が独自制裁強化を行ったため、北朝鮮が調査の全面中止を発表した。6カ国協議は、05年に共同声明を出すまで進展したが、その後、北朝鮮が約束を破ってミサイル実験や核実験を行い、08年の第6回を最後に、北朝鮮が09年に離脱を宣言した。
 沖縄が日朝交渉や6カ国協議に期待した時代から状況は大きく変わった。6カ国協議参加国の間では、米中対立が深刻化し「台湾有事」まで取り沙汰される状況だ。ロシアは、ウクライナに侵攻して自ら国際秩序を破壊する挙に出ている。6カ国協議の再開は困難な状況にある。
 李鍾元早稲田大大学院教授は「(日米韓)3カ国で綿密に協議し、核・ミサイル問題を段階的に進展させながら、再び北朝鮮とのパイプを築く努力が必要だ」と指摘している。まず日韓関係の改善に全力を挙げなければならない。
 軍事的威嚇で押さえ込もうとすれば、北朝鮮のように核武装で対抗しようとする。一方が軍備を強化すれば、他方も強化し際限がなくなる。そして戦争の危険は増していく。巨大な米軍基地と自衛隊の増強を背負わされている沖縄はその前線に立たされている。戦争を回避し平和を構築するには、地域で信頼を醸成していくしかない。沖縄からも、そのための努力、発信が必要だ。



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