<社説>安保法成立から7年 違憲性に向き合い是正を

 憲法違反との指摘がある集団的自衛権行使を可能にした安全保障法制は19日で法案の可決、成立から7年となった。

 この間、自衛隊は他国の艦艇や航空機を守る「武器等防護」の対象を拡大。米軍との一体化も進む。集団的自衛権の発動が現実味を増すが、安保法制と憲法9条との整合性など、違憲の疑念に対して政府説明は十分ではない。
 反対の世論が多数の中で成立し、違憲訴訟が相次ぐ安保法制である。防衛費が過去最大となるなど軍備強化が加速度的に進む中、成立から7年となっても憲法違反の疑念は拭えず是正すべきだ。
 政府は年末までのスケジュールで、外交・安全保障政策の長期指針「国家安全保障戦略」など安保関連3文書の改定を進める。弾道ミサイルを相手領域内で阻止する「敵基地攻撃能力」の保有も検討している。実際に防衛費の概算要求は過去最大の約5兆6千億円となった。一方で、外交努力による平和への貢献度はなかなか見えてこない。
 海洋進出を図る中国、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射を再開した北朝鮮など、東アジアの安全保障環境は懸念が絶えない。ウクライナに侵攻したロシアは中国と共に日本への威嚇力を高めることを確認するなど日本周辺で活発な動きを見せる。政府は軍備増強ありきではなく、平和外交の積極展開でいかに打開していこうとするのかを示す必要がある。
 そもそも安保法制については衆院憲法審査会に招かれた3氏をはじめ多くの憲法学者、歴代の内閣法制局長官、最高裁判事経験者らが違憲性があることを指摘してきた。
 集団的自衛権について政府は従来、憲法9条の下の自衛権行使の範囲を超えて憲法上許されないとしてきた。これを変更したもので、日弁連は憲法違反であることに加え「権力に縛りをかけて国民の権利・自由・平和を守る立憲主義にも違反する」と指摘している。
 説明が尽くされていないという点では金額を明示しない項目が多数ある防衛費についても同様だ。最終的な予算額は7兆円以上に膨れあがる可能性が指摘されている。
 政府が今後も安保法制について説明を尽くすことがないまま、先制攻撃を想定して軍備の増強を続けるのであれば、専守防衛の原則からも逸脱する。
 国会は政府を追認するのではなく、審議の中でしっかりと追及してもらいたい。
 各地で提起されている安保法制の違憲訴訟は、判決で憲法判断を示さない事例が繰り返されているが、裁判所はしっかりと踏み込むべきだ。
 米軍と自衛隊との軍事一体化がより深まれば、沖縄への影響が甚大だ。米軍基地が集中し、自衛隊のミサイル部隊などの先島配備が進む。安全保障の議論に当たっては沖縄の負担軽減と逆行することがあってはならない。



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