<社説>オスプレイ配備10年 普天間配備機の撤去を


社会
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 米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの普天間飛行場への配備から1日で10年となった。県内ではこの間、普天間配備のオスプレイは墜落や緊急着陸など17件の事故を起こしている。沖縄からの全機撤去を求める。

 さらには陸上自衛隊が運用するV22のオスプレイの訓練が県内で行われる可能性がある。これ以上の負担増は断じて認められない。
 開発段階から構造的な欠陥が指摘されてきた。県議会は反対を訴える抗議決議を3度にわたって可決するなど、総意として反対姿勢を示したが強行配備された。
 普天間のオスプレイは2016年12月に名護市安部で墜落、17年にも豪州で墜落し、18年には機体の一部を落下させるなど事故が相次いでいる。海兵隊のMVと構造や性能が同一である米空軍のCV22について米空軍はことし8月、不具合があるとして約1カ月にわたって飛行を停止した。欠陥機と言わざるを得ない。
 オスプレイが事故を起こすと、地元自治体や議会は当然のこととして民間地上空の飛行停止などを求めている。オスプレイ以外の米軍機にも共通しているが、県民の不安が拭い去られないまま米軍の裁量で飛行は再開される。
 つまりは県民の求めが一顧だにされない。その不安を増幅させるのは、日米の隠蔽(いんぺい)体質である。オスプレイの沖縄配備については1990年代から両政府が協議を続けてきたが、日本政府は国会で追及されてもひた隠しにしてきた。沖縄配備を認めたのは2010年になってからだ。
 CVの飛行停止について海兵隊はMVで同様の不具合を10年の段階で把握していた。12年の沖縄配備前のことだ。県民の命に関わる重大な問題が隠されたまま同機の運用が続けられてきた。空軍が運用を止めた間も海兵隊は飛行を続けた。
 普天間のオスプレイは危険なつり下げ訓練や那覇軍港への飛来など沖縄の空をわが物顔で飛び回っている。普天間所属以外にも米空軍、海軍のオスプレイが恒常的に飛来する。さらには陸上自衛隊が運用するV22について吉田圭秀陸上幕僚長は沖縄を含む南西諸島周辺で訓練を行う可能性があることを認めた。理解は得られまい。
 県民生活を脅かし、構造的、差別的とも言われる基地問題の根源の一つには主権国家であることが疑われるような日本政府の対米追従の姿勢があり、また一つには航空法など国内法の適用を免じる日米地位協定の欠陥がある。
 沖縄だけの問題ではない。普天間のMV22の低空飛行訓練が県外で実施される。沖縄の負担軽減の名目で、住宅地を避けると言うが、そのような飛行は不可能ではないか。欠陥機の飛行に理解は得られないはずだ。国民を危険にさらすオスプレイの普天間飛行場からの撤去と地位協定の抜本改定を強く訴える。