<社説>COP27開幕 「気候正義」の実現目指せ

 地球温暖化対策を議論する国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)がエジプトで始まった。ロシアのウクライナ侵攻で国際社会の分断が深まる中、地球規模の課題に向けて各国が協調できるかが焦点になる。

 昨年の英国でのCOP26以後も、各地で暴風雨、水害、干ばつ、大規模山火事などが相次ぎ、気候変動の被害は深刻化するばかりだ。国連環境計画は、産業革命前からの世界の気温上昇を1.5度に抑えるというパリ協定の目標は、現状では達成できないとの予測をまとめた。COP27では、温室効果ガス削減目標の引き上げと気候変動の被害を受ける途上国への支援が最大のテーマとなっている。
 予想された通り、冒頭から先進国と途上国の対立が鮮明になった。途上国の主張には二つのキーワードがある。これまで長期間、大量の温室効果ガスを排出してきた先進国の「歴史的な責任」。そして、被害を受けるのは貧しい途上国の住民や次世代の人々だという不公平をなくす「気候正義」である。
 次世代の代表とも言えるスウェーデンのグレタ・トゥンベリさんはCOP27への出席を見送り、会議がうわべだけの温暖化対策を訴える機会になっていると批判している。先進国には、削減目標引き上げと、実効性のある途上国支援策によって正義を実現し責任を果たす義務がある。
 ロシアの侵攻を受けているウクライナは、武力紛争が自然環境や気候変動に与える影響を把握・評価するための国際枠組みの設立を提案する方針だ。環境破壊が人間の健康に及ぼす影響も視野に入れている。戦争は最大の環境破壊である。ウクライナ侵攻では膨大な量の二酸化炭素が排出されており、エネルギー関連施設や工場などへの攻撃により、有害物質による大気や土壌、水の汚染の懸念が高まっている。国際枠組みによって損害を特定し補償する制度ができれば、戦争の抑止にもつながる。日本政府は積極的に議論に参加してほしい。
 エネルギー高騰で温室効果ガスを多く出す石炭火力に回帰する動きがある。しかし、温暖化対策はまったなしだ。回帰は許されない。むしろ再生可能エネルギーへのシフトを早めるべきだ。日本にとってはエネルギー自給率を高めるチャンスでもある。自給率向上は安全保障の強化にも資するはずだ。
 沖縄県は昨年策定した「県クリーンエネルギー・イニシアティブ」を今年3月に改定し、昨年の目標を上回る「挑戦的な目標」を定めた。7月には、企業などに補助金や税制の支援制度を紹介したり相談に乗ったりする窓口を開設した。離島県沖縄はエネルギーの面で不利性が高いが、沖縄県民にも「歴史的な責任」と「気候正義」は問われる。COP27の議論と呼応して、地域での取り組みも進めていきたい。



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