<社説>日米韓首脳会談 対話努力で緊張緩和を

 岸田文雄首相は米国のバイデン大統領、韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領との3カ国首脳会談に臨み、北朝鮮が核実験を行った場合には「断固とした対応」を取るなど警告を発した。

 北朝鮮の完全な非核化に向けて毅然(きぜん)とした対応を取ることを確認するなど、強力なけん制姿勢が際立った。
 異例の頻度でミサイルを発射する北朝鮮との緊張緩和をどのように実現するのか、具体的な進展はなかった。圧力一辺倒ではなく、対話を模索し続ける必要がある。
 北朝鮮は10月に弾道ミサイルを発射。推定飛行距離は4600キロで北朝鮮のミサイルとしては過去最長だった。日本上空を通過するのは2017年9月以来。11月3日には日本海に向けて約80発の砲撃を行った。かつてないペースで発射を続けている。
 3カ国首脳会談で発したのは、こうした北朝鮮の姿勢に対するけん制だ。ただ、北朝鮮のミサイル発射は、9月に米韓両海軍が日本海で約5年ぶりに実施した大規模合同演習や10月の日米共同訓練に対する威嚇の意味があるとみられていた。
 圧力による対抗は緊張をさらに高めることにつながりかねない。冷静に対処する必要がある。対話が効果を発揮してきたこともあるからだ。
 北朝鮮が17年に大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験成功を発表すると、当時のトランプ米大統領が対話に動いた。18年に史上初の米朝首脳会談が実現することとなり、北朝鮮は核実験とICBM発射実験中止を決めた。
 さらに韓国、北朝鮮の両首脳が「9月平壌宣言」を発表し、非核化に向けた具体的な措置が示され、実現の機運がこれまでになく高まった。しかし、19年2月に米朝会談が決裂すると北朝鮮はミサイル発射実験を再開した。
 5月に就任した尹大統領は北朝鮮への先制打撃能力の確保を掲げ、米韓同盟を重視し連携強化を確認している。北朝鮮による異例の頻度のミサイル発射はこうした米韓の動きへの対抗とみられている。
 いかなる理由があろうともミサイル発射を容認することはできないが、踏み切らせたとみられる要因があったことも確かである。
 3カ国首脳会談では核兵器を含めた米国の拡大抑止を強化するとの確認もあった。これまで繰り返されているように、より緊張を高めることにはならないか。
 粘り強い対話や意思疎通によって関係改善を図ることが肝要である。元駐中国大使の丹羽宇一郎氏は、北朝鮮の核開発問題解決を目指して開かれていた、米朝に日中韓ロを加えた6カ国による協議の再開を提案している。
 約3年ぶりの日韓首脳会談の実現など、評価される動きもあった。この地で再び戦火を交えることはしないとの決意を基に、関係国が東アジアの安全保障を冷静に考える枠組みが必要だ。



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