<社説>米中首脳会談 新冷戦回避へ対話継続を

 バイデン米大統領と中国の習近平国家主席は、インドネシア・バリ島で初会談した。米中首脳の対面会談は3年5カ月ぶり。中国が軍事的圧力を強め緊張が高まる台湾を巡って互いの立場を譲らなかったが、新冷戦は望まないという部分では一致したようだ。両大国が新冷戦を回避するために対話の継続を望みたい。

 沖縄にとっては、米中対立が台湾有事を引き起こし、偶発的な地上戦に巻き込まれる事態を懸念する。現在、南西諸島では島しょ作戦を織り込んだ自衛隊と米軍による大規模演習「キーン・ソード」が実施されている。首脳会談で軍事的衝突を回避したい意向を確認した以上、地域の緊張を高める訓練は慎むべきだ。
 米中双方によると、バイデン氏は台湾海峡の平和と安定を損なう中国の威圧的で攻撃的な行為に反対を表明した。同時に米国の「一つの中国」政策に変更はないと強調した。
 習氏は台湾問題は中国の核心的利益であり、米中間で「越えてはならないレッドラインだ」と強くけん制した。現行の国際秩序を改変する意図はないと述べ「米国に挑戦するつもりも、取って代わるつもりもない」とも強調した。
 東アジアに緊張をもたらしているのは米中双方に原因がある。バイデン氏は歴代米政権の「あいまい戦略」を踏み越え、中国が台湾を攻撃した場合、台湾の防衛に関与すると明言した。米政権幹部らが火消しを図った経緯がある。
 8月上旬にはアジア歴訪中のペロシ米下院議長が台湾を訪問し、中国を刺激し台湾周辺で軍事演習を実施するなど台湾海峡を巡る緊張が一層高まった。米国務省は9月、台湾への対艦ミサイル60基や空対空ミサイル100基などの売却を新たに承認し、議会に正式通知したと発表した。
 ロイター通信は10月、バイデン米政権が台湾と武器を共同開発する計画を検討していると報じるなど、実質的には台湾防衛強化に向けた政策を続けている。
 一方、中国は軍事力を背景に東シナ海と南シナ海で権益拡大に向けた動きを加速させている。尖閣諸島を中国領だと主張し、周辺海域で活動を常態化し、公船による領海侵入を繰り返している。
 習氏は5年に1度の中国共産党大会が始まった10月16日、今後の施政方針を示す活動報告を発表した。台湾問題を巡り「完全統一」を成し遂げる決意を強調した。中国は台湾を絶対的に譲れない「核心的利益」と位置付けており、平和的手段で実現しなければ、武力行使するのではないかともみられている。だが、武力行使は国際的な孤立を招くことを理解しているはずだ。
 今回の首脳会談で関係改善と競争関係を管理するために協議を始めることは評価できる。米中は気候変動対策や経済など地球規模の課題で協力を深め双方の意思疎通を維持しながら、東アジアの緊張緩和に努めるべきだ。



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