<社説>教員採用の要件緩和 労働環境の改善が急務だ

 2023年度の教員候補者選考試験で受験年齢の上限が45歳から59歳に引き上げられる。制限緩和で人材を確保できることが見込まれ、一定の評価はできる。

 ただ、深刻な教員不足の解消にどれだけの効果があるかについては疑問だ。採用枠が変わらなければ改善は限定的ではないか。労務環境や受験者から見た現行の試験の在り方などを検証し、抜本的に見直す必要がある。
 沖縄の子どもたちの学びに直結する問題である。年齢制限の緩和に合わせ、その他の問題点を洗い出し果敢に改革を進めるべきだ。予算が必要であれば、躊躇(ちゅうちょ)することなく措置してもらいたい。
 45歳を迎えて諦めざるを得なかった人たちが一定程度おり、当事者にとっては朗報だろう。県教職員組合も要望し続けてきたことだった。
 臨時任用(臨任)の経験がある受験者の一部試験免除についても資格要件を緩和する。
 臨任として、熱意を持って教壇に立ち続ける人材を正規として採用するために効果があるだろう。
 年齢上限は、11年度の試験でそれまでの35歳から45歳に引き上げられた。今回はこれを上回る年齢幅の緩和である。どのような変化があったのか志願状況などを分析し、今後に生かしてもらいたい。
 ただ、こうした要件の緩和だけで教員の不足が解消できるかは見通せない。不足している背景には休職者の増加があるからだ。
 精神疾患で休職した県内公立学校の教職員は21年度に199人となった。過去10年間で最多の人数である。休職者の増加によってことし9月当初段階で94人の教員が不足している。学級担任や専門科目担当を含めてのことだ。
 病気休職の背景には長時間労働があると考えられる。部活動指導や報告書作成など、授業だけでなくさまざまな業務に追われている。
 一方で学校現場では産業医配置などが進んでおらず、悩みや不調を抱える教員らの相談環境は整っていない。
 こうした環境では、臨任の一部試験免除の要件が緩和されても、働きながら受験する人にとって厳しさは変わらないではないだろうか。
 労働環境の改善が急務だ。激務の環境を緩和し、産休・育休者がいても受け止められる体制でなければならない。志願者数は減少しているが、採用試験の競争倍率は他県に比べて高い状況にある。専科によっては採用が1人~数人ということもあるというが、採用枠を増やすしかないのではないか。
 子どもたちが生き生きと学校生活を送るためにも、使命感を持った教員たちのためにも、必要な予算措置をすることについて県民の理解は得られるはずだ。そのためにも現場の声の聞き取りなどを通して、行政から学校現場の現状についてより積極的に発信してもらいたい。



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